群雄割拠のアイドル戦国時代――。さまざまな運営者が参入したことでマネジメントが機能せず、契約書や給料の悩みや、ファンとのトラブルをひとりで抱えているアイドルも多いという。
そんな状況を打破するべく、地下アイドルが遭いやすいトラブルと対処法をまとめた『地下アイドルの法律相談』(日本加除出版)が、7月20日に刊行された。
本書は、これまで数々の地下アイドルから相談を受けてきた弁護士の深井剛志さんが執筆。さらに、10年間地下アイドルとして活動してきた姫乃たまさんのコラムのほか、付録には、契約書の条項説明や相談先一覧、過去の裁判例も収録されている。法律系の専門出版社が手掛けるだけあり、資料の充実度はさすがだ。
本書には、
―事務所が契約書を作ってくれないけど、どうすればいいの?
―売れてないから給料は払わないと言われたけど、本当にもらえないの?
など、地下アイドルが遭いやすい労働環境の疑問を解決すべく対処法が紹介されている。西島大介さんによるマンガで分かりやすく表現しているため、気軽に読みやすいところが特徴だ。
7月23日、本書の刊行記念トークイベントが開催された。このイベントには、深井弁護士、姫乃たまさん、西島大介さん(リモート出演)のほか、本書の編集担当者も登壇。
同イベントで編集担当者は、「表ではキラキラしているアイドルも、裏ではさまざまな問題を抱え悩んでいる」と語りつつ、「頑張っているアイドルたちに、法律の知識を身につけてもらって武器にして欲しいと思った」と本書の着想を告白。さらに、「この想いを実現化するため、深井弁護士に手紙を書いたことが始まりです」と明かした。
深井弁護士も「地下アイドルたちからTwitterのDM経由で相談を受けることが多かったので、形にしたいなと思って」と、執筆に至るまでの経緯を明かしてくれた。
困ったときにどう行動したらよいか。さまざまな対策情報が分かりやすくまとめられた本書からは、"すべてのアイドルが楽しく安心して過ごせるように"という願いが受け取れる。
アイドルはもちろん、ファンや運営側にも手に取ってもらうことで、アイドル界全体の労働問題改善に寄与する一冊と言えそうだ。
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