さまざまジャンルの専門家をゲストに迎え、社会課題や未来予測などをテーマにイノベーションのヒントを探る文化放送の番組、「浜松町Innovation Culture Cafe」(通称:浜カフェ、毎週土曜日18:00~18:57放送)では、番組のエンディング付近でBOOKウォッチ編集部がおすすめする本を紹介している。
※参考リンク 「浜松町Innovation Culture Cafe」前回2020年7月25日は「生物に学ぶイノベーション」をテーマに放送し、編集部からのおすすめの本は『ウニはすごい バッタもすごい――デザインの生物学』(本川達雄、中公新書)をピックアップ。どんな内容なのかは「講義の終わりにサンゴやナマコの歌をうたった生物学教授がいた」を参照。
番組では、人工知能関連でさまざまな事業を手掛けるエクサウィザーズ社長の石山洸さんと、『ゾウの時間 ネズミの時間』の筆者でもある生物学者、本川達雄さんが登場し「生物に学ぶこと」について語り合った。
本川 生物というのは「生きていく」ことのが目的なわけです。生物は38億年ずっと続いているんですよ。これは、偶然そういうことが起きたわけではなく、生物は38億年、ずっと生きていくということに価値を見出したと言えると思うんです。 人間もそれを見逃してはいけないのではないかと思う。僕は伊勢神宮方式と言っているのですが、擦り切れてきたら新しくする、ということを生物は繰り返してきたのです。伊勢神宮も二十年ごとに立て直して1300年続いているんです。
入山 実は日本は一番長寿企業が多いのです。社寺建築の「金剛組」というのがあって、飛鳥時代にできたけれども、今も残っているのです。現在は何十代目だと思いますが、「金剛組」自体は、今も続いているのです。
本川 ただ瞬間的にお金を儲けて、ということではなく、長く安心を提供するという企業が続いていくからこそ日本は素晴らしいと言えますね。
石山 入山先生がよく、イントラパーソナルダイバーシティ(個人内多様性)が大切だと言いますよね。人は自分の中に実は多様な知見や経験があった方が良いというものですね。普通は文学に興味があれば文学を、素粒子に興味があれば素粒子を、となるところが、本川先生はその両方に興味があり、その間にあるのはナマコだ、とナマコも研究しようというのが大変珍しいかなと思うのですよ。
本川 割り切っちゃうと、どちらかに行ってしまうんですよ。白黒に割り切るのが西洋近代の価値観です。ものは必ず滅んでいく、諸行無常なのですが、そこで無常じゃないものをどうやって求めるのかという答えが、自分自身に子どもというダイバーシティや老いというダイバーシティを認めて、次々とつないでいくことによって現実に不死なるものを実現させる、ということなんですね。自分が生きるということだけではなく、子どもたちに次の世代にどのように広めてつないでいくかということですね。
入山 我々個人だけが生き延びればいいのだ、という考え方は西洋的な考え方ですよね。
本川 自分の子どもも自分のように考え、その考えを広げて周りの人間も、さらに周りのものも、天地万物全ては自分と関わっているという考え方は生物というものに基礎をおいた考え方だと言えると思います。
お家代々という考えは古いと切り捨ててしまうのは、生物という生き方を切り捨ててしまうこと。これをやってしまうのは根っこが無くなってしまうのではないかと心配します。生物的には、こう言った考えは間違いだと思います。
入山 少子高齢化というのもありますが、なかなか子どもたちに割く資金などがないという状態ですが、こういった状況は生物学的に、間違っているということですね。
次回は、本日、8月1日(土)18時から「新しい産業を生み出すには」というテーマで放送。
番組のエンディング付近でBOOKウォッチ編集部からもおすすすめ書籍をご紹介しますので、詳しい内容が気になる方は、文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」のエアチェックを!
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