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『この地獄を生きるのだ』著者、小林エリコが綴った歪んだ家族の実態

 うつ病、自殺未遂、生活保護の受給という、自身のこれまでの壮絶な人生を綴って話題となった書籍『この地獄を生きるのだ』(イーストプレス)。その著者、小林エリコさんの最新刊『家族、捨ててもいいですか?』(大和書房)が発売された。

写真は、『家族、捨ててもいいですか?』(大和書房)
写真は、『家族、捨ててもいいですか?』(大和書房)

 今回、小林さんが扱ったのは自身の家族のこと。小林さんが精神を病むきっかけになったとも言える歪んだ家族の実態を、本書では当時を振り返りながら綴っている。

 小林さんの父は、酔うと母に暴力をふるう人だったそうだ。しかし、映画が好きで、たくさんの映画を小林さんに教えてくれたのも父であり、ときに酒に酔って自分のことが好きかと聞いてくるのもまた、父だった。

 母親は、父に殴られてまで小林さんの結婚を望み、進路を妨害したという。兄は、父の影響で男尊女卑の思考が強くなり、父と同じように暴力をふるうようになったそう。

 しかし、そんな風であっても、憎みきるのが難しいのが家族というもの。自らの手で選ぶことが出来ず、長い時間を一緒に過ごすことになる家族への感情は複雑だ。

 小林さんはそれを、まるで劇でも観るかのように淡々と本書に綴っている。客観的に見ることが難しい自身の家族について、このように綴れる著者はなかなかいない。

 「毒親」という言葉も広まるなど、このごろは家族について考えさせられることが多くなっている。自分の家族について考えるとき、この本に綴られていることが何かの助けになるかもしれない。

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