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『流行性感冒――「スペイン風邪」大流行の記録 』(東洋文庫)が重版

 100年前のスペイン風邪について当時の内務省衛生局が作成した報告書『流行性感冒――「スペイン風邪」大流行の記録 』(東洋文庫)が重版されることになった。版元の平凡社が明らかにした。

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写真は『流行性感冒――「スペイン風邪」大流行の記録 』(東洋文庫)

 「読者の皆さまからの大きな反響・ご要望にお応えし、重版が決定いたしました。本書は全国の書店にてご注文可能です。しばしお待ちください。(4月下旬重版出来予定)」と同社サイトで告知している。

 同書は、1918年から20年にかけて世界中で猛威をふるったスペイン風邪について、主として日本におけるその流行の状況、予防、病理等をつぶさに記録している。

 BOOKウォッチでは2020年4月1日に取り上げ、「改めて手に取り、味読する価値が十二分にある」と紹介済みだ。全体は八章に分かれており、特に多くのページが割かれているのが「第六章」だ。「流行性感冒の病原」「流行性感冒の病理解剖」「流行性感冒の症候」「流行性感冒の治療」「流行性感冒の予防」という五節に分けて詳述されている。「予防」については、実験結果などを基に、下記のように今日の「三密」や「マスク効果」に関する指摘もある。

 ・粗製並製の「ガーゼ」のマスクは防御効果なし。
 ・談話の際に菌は四尺先まで飛んでいる。患者周囲の危険界は四尺。
 ・咳嗽(咳、くしゃみ)では十尺先まで飛ぶ。咳嗽患者周囲の危険界は最短十尺。
 ・マスクを使用することで、他の伝染経路(手の汚れ、不衛生な食物)をなおざりにする傾向がある。
 ・内輪の集まり(会社の事務室、友人間の社交的な会合等)ではマスクを取り外す者が多い。

 一、二章では内外の過去の流行病について中世までさかのぼり、非常に詳細な年表が掲載されている。各流行病の病状や被害状況も克明だ。三章では「今次のスパニッシュ・インフルエンザ」の流行について記され、すでに「インフルエンザ・パンデミー」という文言も登場する。各国への拡散・被害状況、対応なども極めて緻密に時系列を追って記されている。

 「病原」に関しては、「各国に於ける研究成績」などが報告され、「解剖」では「諸臓器の変化」などが掲載されている。「症候」では、「一般経過」「熱の経過」「各臓器に於ける徴候及び合併症」が記されている。「治療」では「対症療法」「特殊療法」「看護上の注意」が並ぶ。100年前、保健衛生の担当者たちが、未知の病だった「インフルエンザ」というものにどう立ち向かい、核心に迫ろうとしていたか、その苦労と意気込みがひしひしと伝わってくる。


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