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100年前「スペインかぜ」で数千万人が死んだ

 中国で新型肺炎が猛威を振るっている。各国は水際での感染食い止めに躍起になっている。思い出すのが「パンデミック(世界的流行)」という言葉だ。100年前の第一次大戦期には世界的にインフルエンザの一種「スペインかぜ」が大流行し、数千万人が亡くなった。

 近年、そのインフルエンザの病原解明をけん引してきたのが、本書『インフルエンザ・ハンター ウイルスの秘密解明への100年』(岩波書店)の著者、ロバート・ウェブスターさんだ。ニュージーランド出身のウイルス学者。米国セント・ジュード小児研究病院教授、WHOインフルエンザ協力センター長などを歴任。米国科学アカデミー会員。ニュージーランド王立学会フェロー。英国王立協会フェロー。

 ウェブスターさんはインフルエンザウイルスの自然宿主が、野生の水鳥であることを発見した。当時、宿主としては豚が有力だったが、海岸を散歩していたとき打ち上げられていたオナガミズナギドリの死体を見つけ、感染を直感した。産卵地での調査に乗り出して、野生宿主はオナガミズナギドリだと突き止めた。

 本書ではこのほか、鳥類のウイルス感染状況の世界的監視網整備や強毒型ウイルスの人工的作成成功(本書監訳者・河岡さんの研究グループ)、見えてきた弱毒型ウイルスから強毒型への変換メカニズムなどの成果が紹介されている。

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写真は『インフルエンザ・ハンター ウイルスの秘密解明への100年』(岩波書店)

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