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インフルエンザの季節、防衛機能をシステム論で理解する

 私たちの体は細胞でできている。その数は約37兆個。赤血球や白血球など、聞いたことがありそうな有名な細胞のほかに、あまり知られないさまざまな細胞にも支えられ、私たちは生きている。そんな細胞の働きをキャラクター化し、わかりやすく図解しているのが『からだのしくみを学べる! はたらく細胞 人体のふしぎ図鑑』(講談社)だ。

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写真は、『からだのしくみを学べる! はたらく細胞 人体のふしぎ図鑑』(講談社)の表紙

 この作品は、シリーズ累計発行部数350万部を超え、TVアニメでも人気を博した「はたらく細胞」シリーズの細胞キャラクターが、それぞれのプロフィールを紹介することで、細胞名やその働きが理解できる構成。図鑑というとおり、学術的な図解も含まれている。たとえば、アニメでも強力なキャラクターで描かれている「マクロファージ」細胞。そもそも、この細胞を知っている方はどのくらいいるだろうか。
 「マクロファージ」細胞は、白血球の一種で病原体や死んだ細胞を食べる防衛機能のほか、病原体の存在を「ヘルパーT細胞」(司令塔)に伝達する役割や、赤血球の元を育てる役割を果たす(p.30)など、免疫システムでも重要な役割を果たしているという。これは一例だが、私たちの体内でおきている免疫構造が、細胞の役割や、連携システムがどう作用しているのか、わかりやすく理解できる。読むより、目で見るという印象が強い本だ。

インフルエンザと戦う!

 今年もインフルエンザの流行を伝えるニュースが出始めた。本書にはインフルエンザウィルスに感染したとき、体内で起こる細胞のはたらきも解説されている(p.78)。
 インフルエンザウィルスに感染したら、はじめに好中球が動き、次いで、「マクロファージや樹状細胞がヘルパーT細胞にウィルスの情報を伝え、そこからキラーT細胞やB細胞が準備・・・」と細胞のチームワークでウィルスと戦うシステムチックな動きが解説されている。キラーT細胞、B細胞が何かは、それぞれの解説ページがあるので、関連ページも繰り返し読みながら全体像が理解できる内容。なぜ熱が出るのか、なぜ食欲がなくなるのかも解説されているので、インフルエンザが流行ってきたときに、職場の会話でも役立つコネタになるに違いない。

 なお、本書の対象年齢は小学校中学年以上。記憶力や好奇心が高く、時間のある子どもたちが読めば、医学部を目指す子も増えるのではないだろうか。

 BOOKウォッチでは、細胞に関してiPS細胞の山中伸弥さんが監修した『科学知と人文知の接点』も紹介している。

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