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冬休みに読みたい。地域文化を照らす食と民俗のエッセー

 神社や神棚に供える供物のことを神饌(しんせん)という。本書『ニッポン神様ごはん――全国の神饌と信仰を訪ねて』(青弓社)は、軽妙な文章とカラー写真で日本全国の神饌を紹介して、それを通して日本の信仰と地域文化を照らす食と民俗のエッセーだ。

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『ニッポン神様ごはん――全国の神饌と信仰を訪ねて』(青弓社)

 米、酒、塩、餅などの定番、七草、里芋、ウド、鹿肉に鮮魚、どぶろく、お菓子――人々は、神様に食べ物を供えることで健康や五穀豊穣を祈ってきた。それぞれ異なる食材や調理法に加えて、地元に息づくユニークなお祭りも紹介する。お正月を迎えた今の時期にぴったりの一冊だ。内容は以下の通り。

第1章 若菜パワーで鬼退治――貴船神社の若菜神事(京都府京都市)
第2章 村人みんなで神饌作り――老杉神社のエトエト(滋賀県草津市)
第3章 里芋の神饌を担いで氏神様へ――茂名の里芋祭り(千葉県館山市)
第4章 古代の薬「薬草」で疫神を鎮める――大神神社の鎮花祭(奈良県桜井市)
第5章 春告げウドと鹿肉を肴にどぶろくで乾杯――御座石神社のどぶろく祭り(長野県茅野市)
第6章 海水を煮詰めて塩を作る――御釜神社の藻塩焼神事(宮城県塩竈市)
第7章 神饌を頭にのせて行列――北白川天神宮の高盛御供(京都府京都市)
第8章 神々のお膳を運び行列がいく――吉備津神社の七十五膳据(しちじゅうごぜんすえ)神事(岡山県岡山市)
第9章 八百年続く神と人の宴――宗像大社の古式祭(福岡県宗像市)
第10章 田の神様のごちそう膳――奥能登のあえのこと(石川県鳳珠郡能登町)

 著者の吉野りり花さんは旅ライター・旅エッセイスト。早稲田大学第一文学部(日本文学専修)卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスライターに。食の民俗学をテーマに日本各地で取材を続け、日本の旅、郷土食・食文化、祭や民俗についてのエッセーやコラムを執筆する。著書に『日本まじない食図鑑――お守りを食べ、縁起を味わう』(青弓社)がある。

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