本を知る。本で知る。

親子で受けたい「プレゼン」7つの授業

こどもプレゼン教室

 プレゼンを苦手とするビジネスパーソンは多いと聞く。しかし、なんといまや、プレゼンはこどもにも必要な力だという。本書『論理的思考力が身につく! こどもプレゼン教室』(宝島社)は、ソフトバンクの孫正義氏のプレゼン資料を作ったクリエイター・前田鎌利(まえだ かまり)さんが小学生のために書いたプレゼンの教科書である。

 「うまくプレゼンができるようになると、おとうさん、おかあさん、学校の友だちにじぶんの考えていることをちゃんと伝えられるようになる。相手のことをきちんと考えられるようになる......だから、じぶんのことをちゃんと伝えること、つまりプレゼンってとっても大事なことなんだ」

通信業界を歩んだプレゼンの名手

 前田鎌利さんは、1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年ジェイフォンに転職し、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)と17年にわたり移動体通信事業に従事。10年ソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選出される。孫社長にプレゼンして事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料の作成も担当。ソフトバンク子会社の社外取締役、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)を務め、13年退社、独立。

 著書『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(以上、ダイヤモンド社)は累計30万部を突破。年間200社を超える企業でプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。一般社団法人プレゼンテーション協会代表理事、情報経営イノベーション専門職大学客員教授、サイバー大学客員講師。

 本書のプロフィールにはないが、前田さんはプロの書家としても活動している。5歳から書を始め、書道の先生になりたいと、大学は教育学部書道教員養成課程を卒業。『孫正義 事業家の精神』(井上篤夫著、日経BP)の表紙に揮毫を寄せている。

おこづかいを増やしてほしいなら

 本書では、通信業界を歩んできたプレゼンの名手である前田さんが先生となり、「だれでもできるプレゼンのやり方や考え方」がわかる7つの授業を行う。オールカラー、ひらがな多め、ふりがな付き、たくさんのイラストと図。こどもが苦手意識を持たずにスイスイ読めそうだ。また、本書はただ読んで終わりではない。紙と筆記用具を使って、実際に書きながら学ぶスタイルをとっている。目次とともに、各時間のポイントを紹介しよう。

「1時間目 目的を決めよう」
 やりたいことを考える/だれに伝えるかを考える/じぶんの考えを整理する

「2時間目 相手のことを考えよう」
 相手の求めていることを考える/おとうさん、おかあさんはどんな人?/相手の喜ぶことを考える

「3時間目 伝わりやすくなるテクニック」
 キラーフレーズは7回/13文字の法則/波線や下線は使わない

「4時間目 説得するための材料を探そう」
 つかみは「質問」で!/3という数字の不思議な力/悪いところを改善する

「5時間目 数字を使って説明しよう」
 数字の使い方を覚えよう/数字を図形にしてみよう/スケジュールを作ろう

「6時間目 ビジュアルで伝えてみよう」
 伝えたいことを絵にしてみよう/ストーリーを描いてみよう/多画像効果とワンカラ―効果

「7時間目 発表のしかた」
 緊張しないための3つのポイント/うまく話すための3つのポイント/プレゼンの流れを考えよう

 それぞれの授業の最初に「おこづかいを増やしてほしいなら」「おもちゃを買ってほしいなら」「ゲームをしたいなら」「習いごとをしたいなら」「ペットがほしいなら」「発表がうまくなりたいなら」という、こどもの好奇心をくすぐるワードが並んでいる。「プレゼン」と言われてもピンと来ないかもしれないが、「おこづかい」「おもちゃ」「ゲーム」となれば俄然興味が湧くだろう。

伝わらないのには、原因がある

 本書を読みながら目的・やりたいことがわかってきたところで、「つかみ(相手への質問)」「今回伝えたいこと」「特ちょう3つ」「メリット(相手のお得なポイント)」「お願い(提案)」をシートに書いてみる。プレゼンのコツはいろいろ出てくるが、基本は、このシートに何度も戻ってきて、じぶんの考えを整理することのようだ。

 全体を通して「3」がよく出てくることに気づく。4時間目では「説得するための材料」として、この「マジックナンバー3」を紹介している。「不思議な力のある『3』という数字。伝えたいことの特ちょうを3つにわけて伝えると、相手も覚えやすく理解しやすくなるよ」としている。

 さらに、ここで「13文字の法則」を一緒に使うことをすすめている。「人間が瞬間的に、文字とその意味を同時に理解する文字の数は、少ない人で9文字、多い人で13文字といわれている」という。Yahoo!の各記事のタイトルも13文字以内に収まっているようだ。「マジックナンバー3」と「13文字の法則」の合わせ技で3つのことを短い言葉で伝えれば、大人が耳をかたむけやすくなる、としている。

 言いたいことがなかなか伝わらない経験は、大人になってからもよくある。そもそも親世代はこどものころにプレゼンを学んでこなかったわけだから、7つの授業は親にとっても学ぶことが多い。

 「じぶんの言いたいことがうまく伝わらないのには、ちゃんと、原因があるんだ。プレゼンをするときには、じぶんの目的がいったいなんなのか、相手はどんなことを求めているのかをちゃんと理解することが大切だ。どちらが欠けてもうまくいかない」

 最近の小学生は英語にプログラミングに......と思っていたら、さらにプレゼン? と驚いたが、プレゼンはビジネスシーンに限らず、こどものころから身につけておきたい力であることがわかった。こどもにはまだ早いなどと思い込んでいると、あっという間に時代に取り残される。親の常識もアップデートしていかなくては、と思った。



 


  • 書名 こどもプレゼン教室
  • サブタイトル論理的思考力が身につく!
  • 監修・編集・著者名前田 鎌利 著
  • 出版社名株式会社宝島社
  • 出版年月日2020年7月27日
  • 定価本体1200円+税
  • 判型・ページ数A5判・144ページ
  • ISBN9784299007148

オンライン書店

 

デイリーBOOKウォッチの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?