堀江貴文さんがきっかけとなったプレゼンテーションの勉強会があるという。HIU(堀江貴文イノベーション大学校)のビジネスプレゼン大会が開かれたが、あまりの下手さにダメ出しの連発。メンバーが自主的に勉強会「プレゼンの達人」を組織するようになり、会員数1500人を超えるコミュニケーションサロンになったそうだ。
本書『堀江貴文のゼロをイチにするすごいプレゼン』(宝島社)は、堀江さんの本にしては珍しく「HOW TO?」を詰め込んだ実用書だ。第1章は心得編で、「なんのためにプレゼンするのか?」が説かれ、第2章は準備編で、・シンプルイズベスト ・3分3部構成がベスト ・共感を集める「Me、We、Now」など、プレゼンの構成を考えるヒントが書かれている。
より実践的な内容にふれた第3章のスライド編「パワポなんか使うな」が参考になる。堀江さん自身、手間をかけたくないのでスライドはほとんどつくらないという。「惰性でスライドを準備するのはやめよう」と訴えた上で、言葉では伝わりにくいイメージを補完するものと心得ようという。
そしてスライドをつくるなら、デザイン性に優れ、操作が簡単なキーノートの一択だと断言する。書体はゴシック体(ヒラギノ角ゴ)。写真はフリー素材を使わず、お金をケチらずにいい写真やイラストを使おう、と書いている。
第4章の実践編「聴衆の心をガッチリつかめ」では、以下の心得を説いている。
・自意識過剰というムダ ・場数×叱責から学べ ・"人は見た目が9割" ・聴衆を巻き込め
現在は宇宙ロケット開発やスマホアプリのプロデュースなどをする堀江さん。自信満々のように思えるが、本書でその秘訣を明かしている。
東大に入ったものの研究職を目指すことへの興味を失い、麻雀に明け暮れていた堀江さんをヒッチハイク旅行に誘ってくれた友人がいた。見ず知らずの人に「自分は怪しい人間ではない」ことをプレゼンし、「乗せてほしい」と誠心誠意お願いする。その経験を積み重ねるうちに、「全国どこにだって行ける」という自信がついたという。「自信は成功体験の積み重ねで蓄積できる」そうだ。
終章では、プレゼンだけ上手になってほしくて、本書を書いたわけではない、と書いている。「プレゼンを成功させることはゴールではなく、スタートライン」だと。
プレゼンはあくまで手段であって目的ではない。「想い」を伝え、相手を動かすのが目的だ。プレゼン下手でも応援したくなる人もいるという。冒頭で紹介した「プレゼンの達人」からは、実際に事業化にこぎつける人も出てきたそうだ。
勉強会では一人3分でプレゼンし合う。3分あれば、だいたいのことは伝えられるという。
本書の巻末にはポイントをまとめたテンプレートがついている。参考になるので、実際に手に取って読んでもらいたい。
自己紹介だってプレゼンだ、と冒頭に書いてあった。堀江さんが今でも大きな影響力を持っているのは、SNSや書籍の発行、テレビ出演などを通して、常に自分をプレゼンし続けているからだろう。
相手に自分の「想い」を伝えたい。そうやって活動してきた堀江さんは当代一のプレゼンターに違いない。
BOOKウォッチでは、堀江さんの著書として『仕事も人生も娯楽でいい』(宝島社新書)、『10年後の仕事図鑑』(落合陽一さんとの共著、SBクリエイティブ)を紹介している。
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