イヤなことがあったとき、自己肯定感が強いとさらりと受け止め、傷つくこともブレることもない。一方、自己肯定感が弱いといつまでも気にして、モヤモヤする......。あなたの受け止め方はどちらに近いだろうか?
ハッピーライフ・コンサルタントの恒吉彩矢子(つねよし あやこ)さんの本書『「自己肯定感」の持ち方であなたのまわりが変わりだす』(青春出版社)によると、そもそも自己肯定感とは「マイナスな部分も含めて、どんな自分もいいねと思い、信じ、認めることができる感覚」。
本書は、自己肯定感アップに効く「5つのOK」を出す方法を紹介した一冊。自己肯定感は本来誰しも強いので、もし今何らかの理由で弱まっていたとしても「自己肯定感は必ず強まります」としている。
恒吉さんは東京女子大学卒業後、大手金融機関に勤務。ストレスに悩み心身を痛めたことをきっかけに、心理学、カウンセリング、アロマセラピー、整体、ヒーリングなどを学び始める。「同じような悩みをもつ方々のお役にたてれば」と、2001年からのべ5000名以上にアドバイスやセッションを行う。『幸運が舞い込む プリンセスルール』(中経の文庫)など、著書多数。
著者自身、もともと自己肯定感が弱めだったという。人にどう思われるかを気にして、「よく思われよう」「評価してもらおう」としていた。働き始め、それなりに評価されて自信を持てるようになったが、5年目に上司が変わり、それまでの評価は一変した。
「よくそれで大学を出たと言えるね」「信じられないくらいダメだな」と、ことごとく否定される。当時の著者は自分を責め、上司の顔色をうかがい、「またこう言われるかも、否定されるかも」とシミュレーションをして、神経をすり減らしていった。すると、あるとき全身に湿疹ができ、顔はむくみ、耳の皮がむけるように。
「今にして思えば、『自分より人のことを優先させて、自分を否定し、イヤなことばかりを考え続けると、こんなことが起こってしまうよ』というお知らせだったようにも思います」
この体験から心と体について学び始め、自己肯定感が少しずつ強くなっていき、がんばらなくても嬉しいことばかりが起こるようになったという。
では、「5つのOK」とは一体何か? それは「自分」「人」「トラブル」「せかしあ(自分を世界一幸せにするの略)」「幸せな未来」にOKを出すこと。この「5つのOK」を出すことによって、自己肯定感を強め、自分を取り巻く世界を変えていくことができる、としている。本書の目次は以下のとおり。
第1章 「自分」にOKを出す
自分の思いや感情に気づき、心地よく軽やかにしていく。
第2章 「人」にOKを出す
人にもOKを出すチャレンジをしてみる。
第3章 「トラブル」にOKを出す
自分に起こるどんなことでもOKを出せるようにする。
第4章 「せかしあ」することにOKを出す
自分を世界一幸せにすることをする。
第5章 「幸せな未来」にOKを出す
やってくる幸せをしっかりと受け取る。
読んでいくと、著者の自己肯定感の強さが並大抵ではないことがわかる。中でも第3章の「がんは体験型医療エンターテインメント!?」は、深刻なエピソードもこんなふうに受け止めてしまうのかと驚いた。
「トラブルは自分のため」と思って受け入れると、対処がうまくなる。そしてトラブルを「面白がる」ようにすると、さらにうまく切り抜けることができる。そのことを著者が身にしみて実感したのが、思いがけない卵巣がんの発覚だった。
15年以上、自分らしく幸せに生きる方法を伝えてきた著者も、そのときばかりはさすがに不安になり、最初はうろたえるしかなかったという。極限状態に陥ったとき、受け止め方を変えて、こう思うようにした。
「良性であってほしいとどんなに願っても悪性だったのなら、それが『魂レベルでOKを出した』自分にとって最善のことだから」
卵巣と子宮の全摘手術を受け、その後抗がん剤治療も受けたが、それさえも「体験型医療エンターテインメント」と面白がる心の余裕まで出てきたという。著者が選んだのは、悲劇のヒロインになることでも、自分の生活習慣や何かを責めつづけることでもなく、「自分に起こったことにOKを出す」という自己肯定感の持ち方だった。
最後にもう一つ、第2章の「そのコメントは『批判』ではなく、『ただの感想』」にふれておこう。著者がブログや本を書いていると、時々痛いコメントをされることがあるという。しかし、その人に気に入ってもらおうとすると、今度は他の人がまた別のことを考える。結局、全員の意見を聞こうとしても切りがないことに気づいたという。
「『人は人。何を思ってもOK』『自分は自分。何を思ってもOK』と思って、領域侵犯せず、自分に集中することが、人に振り回されず、自分を守る最大のコツなのです!」
自分と他人の間には境界線があるが、それを侵犯したり、侵犯されたりすることを「心の領域侵犯」としている。SNSでの誹謗中傷がこれまで以上に問題視されている今、「自分と他人の境界線をシッカリと意識してみましょう」「人から言われたことが気になったら......『ちょっと待てよ』と境界線の内に入れるかどうかを吟味してください」などが印象に残った。
「自分の思いに気づき、認め、自分を大事に、心地よくすること」「がんばることより、今の自分にOKを出そう!」――。著者が自身の体験をもとに発するメッセージは、自信がない、他人が気になる、自分を大切にできない......と、自己肯定感が弱まっている人の力になるだろう。
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