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日本に「外国人」はすでに約400万人!  2019年BOOK回顧(4)

団地と移民

 改正出入国管理法(入管法)が2019年4月から施行され、一定の技能を持つ外国人に新在留資格「特定技能」が与えられた。今後5年間で最大約34万5千人の受け入れが見込まれている。

 出入国管理庁によると、6月現在の中長期在留者と特別永住者を合わせた在留外国人数は282万人を超えて過去最高。付随する様々な問題を扱った関連書も目立っている。「BOOKウォッチ」掲載本から改めて振り返ってみる。

「留学生」をバイトさせる仕組み

 身近なところでは、『コンビニ外国人』(新潮新書)。本書によれば、外国人労働者は単にコンビニの店内にいるだけではない。

 例えば早朝、コンビニでおにぎりを買うとする。レジのスタッフは外国人だが、その数時間前、工場から店に運ばれてきたおにぎりを検品して棚に並べたのも外国人。さらに食品製造工場で働いていた人の6~7割は外国人。見えないところではるかに多くの外国人が働いていることまで本書は教えてくれる。

 日本にいる外国人留学生は27万人。そのうち26万人がアルバイトをしている。5年前の2.5倍に増えている。そこには日本特有の事情がある。留学生の場合、出入国管理法で原則的に週に28時間までを上限として働くことが認められているのだ。一日平均で4時間までは留学生も自由にアルバイトできる。

 ところが、この「28時間」という上限は、世界的に見ると、きわめてゆるい規制だという。アメリカやイギリスで学生ビザでのアルバイトは原則禁止、カナダやフランスでは20時間程度まで、韓国では就学後半年以上たってからという決まりがあるそうだ。つまり「コンビニ外国人」の背景には、日本独特の「規制緩和」があることがわかる。彼らが「24時間コンビニ」の貴重な担い手となっている。すでに大手のコンビニは国内外に留学生向けの研修施設を持っている。

「失踪」する理由

 『奴隷労働―ベトナム人技能実習生の実態』(花伝社)は、こうした外国人労働者の悲惨な実態に迫る。著者の巣内尚子さんは、実に139人ものベトナム人に聞き取りして本書をまとめている。

 ベトナム人の特徴は「技能実習生」が多いことだ。日本の「外国人技能実習制度」のもとで来日した外国人労働者は28万人強だが、ベトナム人が半数近い13万人強を占めている(本書刊行時)。国別ではダントツのトップだ。多額の渡航前費用を借金して来日したが低賃金、長時間労働、パワハラ、セクハラ、劣悪な住居環境、家賃の過重な天引き・・・。戦前の女工哀史のような実情が暴き出されている。

 この技能実習制度の大きな問題は、基本的に最初の就労先を変えられないことにある、と著者は指摘する。就労先とトラブルになって強制帰国させられると、ベトナムで仲介会社に払った保証金が返ってこない。だから待遇に不満でも我慢するしかない。時おり「失踪」のケースが報じられているが、こうした背景を知れば、よくよくのことだと推察がつく。

 全国の失踪者は18年が9052人。19年の技能実習生は40万人台になると見られている。

 日本にいる外国人数については様々な数字がある。『ふたつの日本――「移民国家」の建前と現実』 (講談社現代新書)によれば、「留学」や「技能実習」、さらに、「帰化者」や日本国籍の「国際児」などを含めると、広義の「外国人」は約400万人に膨らむという。

 彼らは一体どこに住んでいるのか。『団地と移民』(株式会社KADOKAWA)は居住地域を歩く。著者の安田浩一さんは『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)などで、外国人労働者の問題を長期間取材し、多国籍化する団地に注目してきた。

 埼玉県川口市の芝園団地は全世帯2500戸の半数が中国人だという。愛知県豊田市の保見団地は全住民8000人の半数がブラジル人などの日系南米人。それぞれで共生を探る試みが続けられている。

多国籍小学校も出現

 外国人が定住すれば、子どもの学校問題が浮上する。『〈超・多国籍学校〉は今日もにぎやか!――多文化共生って何だろう』(岩波ジュニア新書)は一足早く、外国人が増えた横浜市の小学校の物語だ。

 同市泉区にある市立「飯田北いちょう小学校」は17年12月現在、外国籍の児童が120人。親が外国籍で子どもは日本国籍など、外国につながる児童が28人。合わせて148人(全校児童の約54%)が外国と関係がある児童だ。しかもベトナム、カンボジア、ラオス、中国、タイ、フィリピン、ビルマと国際色豊か。様々な国の言語や文化を背負う子供たちが学んでいる。

 隣接する神奈川県大和市に1998年まで「インドシナ難民定住センター」があり、多数のインドシナ難民が暮らしていたからだ。センターで一定期間の日本語教育や生活ガイダンスを受けた難民は、飯田北いちょう小学校の学区にある県営団地に入居することが多かった。その結果、同小にインドシナとつながりを持つ児童が増えることになった。

 定住すれば様々な法律問題も発生する。関連書も目につくようになった。『無断離婚対応マニュアル――外国人支援のための実務と課題』(日本加除出版)は、日本人と結婚していたが、いつのまにか離婚されていた、という外国人の相談にこたえるための手引書。『「在日」の相続法 その理論と実務』(日本加除出版)は古くから日本に住む在日韓国人、朝鮮人の問題を扱っている。

  • 書名 団地と移民
  • サブタイトル課題最先端「空間」の闘い
  • 監修・編集・著者名安田浩一 著
  • 出版社名株式会社KADOKAWA
  • 判型・ページ数四六判・253ページ

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