読むべき本、見逃していない?

リアルとフィクションを横断して夫婦を考える本

  • 書名 夫婦ってなんだ?
  • 監修・編集・著者名トミヤマ ユキコ 著
  • 出版社名株式会社筑摩書房
  • 出版年月日2019年3月25日
  • 定価本体1400円+税
  • 判型・ページ数四六判・240ページ
  • ISBN9784480815460

 本書『夫婦ってなんだ?』(筑摩書房)のタイトルが気になる。既婚者が抱える不満や疑問が、この一言に凝縮されているように感じられる。既婚者である評者は、世の既婚者がどんなことに悩んでいるのかと興味が湧き、本書を手に取った。

 読んでみると、予想した内容とはかけ離れていた。小説、マンガ、ドラマ、映画、有名人の夫婦を例に、著者の好奇心の赴くままに、ざっくばらんな文体で考察が繰り広げられている。本書は、既婚者のお悩み相談に共感し、専門家のアドバイスを受けるものではなく、時代とともに多様化する夫婦の形や価値観を著者とともに眺める読み物である。本書は、筑摩書房のPR誌『ちくま』での連載(2017年9月号から19年2月号)がもとになっている。

「わからないから、調べて、学んで、書いていく」

 著者のトミヤマユキコさんは、1979年秋田県生まれ。早稲田大学法学部、同大大学院文学研究科を経て、2019年春から東北芸術工科大学芸術学部講師。ライターとして日本の文学、マンガ、フードカルチャー等について書く一方、大学では少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連講義を担当。著書に『40歳までにオシャレになりたい!』(扶桑社)、『大学1年生の歩き方』(共著、左右社)、『パンケーキ・ノート』(リトルモア)がある。

 トミヤマさんは冒頭で、本書の目的を次のように書いている。

「リアル/フィクションを横断しながら、夫婦のなんたるかを考えたい。それが本書の目的である。不倫ドラマが人気を博し、離婚率も右肩上がり。そんな『夫婦オワコンの時代』をわれわれはどう生きるべきか、ちょっと探ってみようじゃないか」

 トミヤマさん自身は既婚者だが、夫婦、結婚というものに思い入れがある様子はなく、客観的に夫婦というものを観察している。

「ある夫婦は古典的とも言えるような夫婦愛を手に入れ、またある夫婦は一歩先行く夫婦像を模索する。で、バンドマンと結婚した大学教員兼ライターのわたしは、そもそも『夫婦として』という構え事態がめんどくさい。夫婦ってなんだ? なんなんだ? いまはまだわからない。わからないから、調べて、学んで、書いていく。これは、そういう本です」

もうひとくくりにできない「夫婦」「結婚」

 「夫婦って親友!?」「捨てられる妻、捨てられない妻(片づけ上手とかではなく)」「夫婦げんか、回避すべきか完遂すべきか?」「卒婚しようよ」など、18のテーマでトミヤマさんの考察が展開される。巻末には付録として「3B(美容師、バーテンダー、バンドマン)と付き合ってはいけない!?」が収録されている。

 本書は「夫婦」「結婚」をテーマに次々と持論が展開され、ややまばらな印象を受けたが、ここでは本書を貫く著者のメッセージを紹介したい。

「結婚を、夫婦を、ひとくくりにすることはできない。......結婚/非婚でひとを区別する時代はさっさと終わらせるべきだし、結婚する場合も、その中身をどんなものにするかは、各人が自由にアレンジしていいはず。わたしの結婚は、わたしのもの。誰もがそう言える世の中になって欲しい」

 トミヤマさんは「あとがき」で、夫婦の専門家ではない「素人」なりに「好奇心の赴くまま自由に掘り進めて行けた」としている。また、結婚願望もなく結婚したため、「あらゆる既婚者が未知の他者であり、観察対象としておもしろく感じもしたし、いろいろなことを学ばせてもらえもしたのだろう」と振り返っている。

 時代は平成から令和へ移り、「夫婦」「結婚」の概念は今後ますますアップデートされていくだろう。本書を読めば、未婚者・既婚者を問わず、「夫婦」「結婚」の枠組みを一度取り払い、まっさらな状態から自分らしさを探究する気持ちが湧いてくるだろう。

 本欄では『ニセモノの妻』(新潮文庫)『東京の夫婦』(マガジンハウス)等も紹介している。

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