宗教や神道というと、なんとなく堅苦しい。しかし、本書『日本の神様図鑑』(新星出版社)はうんとくだけている。何しろ「図鑑」だ。私たちの誰もが聞いたことがある日本の神様について、やさしく、絵入りで解説する。おなじみの神様がアニメの「人気キャラ」のように紹介され、身近になっている。小中学生でも読める内容だ。
本書によると、日本には神社が約8万もあるそうだ。全国の郵便局が約2万4千、コンビニが約5万といわれているから、比較すると多さがわかる。お世話になるのは、新年の初もうでや、受験など何かの祈願の時ぐらいという人がほとんどだろう。人によっては結婚式やお葬式での経験があるかもしれない。
評者は神式のお葬式に出たことがあるが、これがなかなか良かった。神主さんが独特の口調で分かりやすく死者の人生を説明する。仏式にはない親切さがあった。一方で参列者の弔い時の作法には、荘重な雰囲気があり、丁寧に心から亡き人を送ることができた。
本書は、「神様と仲よくなれる!」というのがキャッチフレーズになっている。何となく普段は縁遠い神様たちのことをもっと知り、交流を深めるのがねらいだ。そのためのイロハとして、まず簡単に日本の神様の世界が解説される。
本書のもとになっているのは「古事記」と、そのエッセンスが凝縮されている「祝詞」。その両者についての説明からスタートし、「神様とはどんな存在?」「大活躍!6柱の神様」「日本の神様図鑑」「神様を身近に感じるために」「もっと知りたい神様の世界」と順に進む。
著者の大塚和彦さんは、神職でもなければ、神道の専門的な研究者でもない。國學院大學文学部出身というから神道に多少は縁があるようだが、いったん会社勤めをした後、世界を旅するバックパッカーになり、数年の後、社会復帰。数社での実務を経験後、2001年有限会社(現、株式会社) ヴィジョナリー・カンパニーを創業。オラクルカード・タロットカード専門出版社として、『日本の神様カード』シリーズをはじめ、過去に50作以上のカード出版を手がけている。つまり現在は小さな会社の経営者。人生で躓いて悩んだときに「古事記」を再読し、神様のことをもっと知りたくなって勉強、本書を書くに至ったという。
実際のところ、古事記は壮大な物語なので、できるだけ簡単な解説書がありがたい。その意味ではイラスト満載の本書は助かる。全体として「Q&A」形式で進むので、頭に入りやすい。「古事記」本体を読むのが億劫な人も本書なら気安く手に取れるのではないか。
本欄では『オールカラー 地図と写真でよくわかる! 古事記』(西東社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』(幻冬舎)、『古鏡のひみつ――「鏡の裏の世界」をさぐる』(河出書房新社)、『秘境神社めぐり』(ジー・ビー)、『どこにでも神様』(新潮社)なども紹介している。
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