歯並びの問題からかみ合わせがうまくいかないと口腔内ばかりではなく、心身全体の健康にも影響が及ぶ。ケア方法として矯正治療が知られるが、かかる費用や期間のスケールと折り合いをつけるのは容易ではない。近年は「部分矯正」の技術が進化し、従来の「全体矯正」から需要がシフトしているという。
治療の対象が「全体」から「部分」に、いわばピンポイント化し狭まったものだから、もちろん期間が短く、費用も抑えられるようになった。本書『早い! 安い! 痛くない!「部分矯正」歯科で美と健康を手に入れる』は、この治療法の第一人者といえる歯科医が、部分矯正の実情を詳しく説明したもの。
著者は2009年に、それまで勤務していた歯科クリニックから独立して東京都内で開業。約6500人を診療したが現代日本人の9割近くは「いい噛み合わせ」とはいえない印象を持っているという。開業以来、部分矯正を行ってきたが「患者からのニーズがここ数年で倍増してきた」のを受け、15年には専門外来をオープン。「日本部分矯正歯科学会」会長を務めている。
たとえば、前歯の歯並びがよろしくなく麺類をかみ切れない不便さがあり、これを治そうとする場合どうするか。従来の全体矯正では、奥歯を含めた全体に装置を付けて時間をかけて歯列を整えていくことになるが、著者が行った「前歯1本のガタつきを治したい」という19歳の女性に対する例では、前歯6本を動かす治療を行い約5か月で終了したという。費用面では、本書によると、全体的な矯正の場合は80万~100万円程度かかるのが一般的だが、部分矯正では歯1本3万円ほどで、前歯1、2本がターゲットの場合、それらを中心に左右対称に6~8本に装置を付けることになり、平均費用は18万~24万円になる計算だ。
かみ合わせが悪い状態を放置すると、食事の際の咀嚼で歯が削られたり少しずつ動くなどして歯並びがさらに悪くなる可能性があるという。また、かみ合わせの不調により就寝中に口を開いてしまい風邪をひきやすくなるなど健康面でのマイナスもある。歯並びの問題はまた、むし歯や歯周病の原因となり、ひいては、深刻な病気を招くこともある。J-CAST Bookウォッチでは、内科医が口腔内トラブルと糖尿病の関連を指摘した「糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい」を紹介している。
歯科矯正は、美容効果やアンチエイジング効果などでも注目されている。日本テレビ系の深夜番組「月曜から夜ふかし」の15年7月の放送で、街頭インタビューに登場した女性の、いわゆる「出っ歯」ぶりが注目を集めた。女性はそれをポジティブに受け止め、自らのニックネームが「クソ出っ歯」と明かすなどしてネットでも評判になった。その後しばらくしてから同番組に再登場した彼女は、矯正を受けており口元はすっかり落ち着き別人のよう。きれいになった、若返ったと再度評判になったが、番組でも司会のマツコ・デラックスさんらをあらためて驚かせたものだ。
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