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爆心地から750㍍で被爆した11歳少年のあの日の記憶

 ◆被爆一世最年少語り部の米澤鐡志さん(79歳)の語りが、1冊の本になりました。
米澤鐡志さんは、爆心地から1キロメートル以内で被爆して生き残った、数少ない人のひとりで、被爆一世最年少の語り部です。当時、小学3~6年生は、学童疎開で広島市内を離れていたので、当日ヒロシマ市内にいた3年生以上の小学生は人数が限られていました。動員されて市内で作業中だった中学生たちは、ほとんどの方が亡くなられています。電車内で被爆して奇跡的に生き残り、爆心地から北へ歩いて逃げた「あの日」の記憶を自分の体験として語れる「被爆一世」としては、米澤鐡志さんが最年少です。

◆11歳の少年が感じた「あの日」の鮮烈な記憶
米澤さんの「語り」を聞いた人たちは、誰かに伝えなくては、という思いにかられてしまいます。
この本は、米澤少年の目で見た、8月6日その日のことと、その後何が起こったのか、という記憶です。
ブラウスが突然発火して体が焼け始める女性、皮膚が布地のように垂れ下がって幽霊のように見えた人たち、防火水槽に飛び込んで亡くなっている赤ちゃんを抱いた女性、川を流れていくたくさんの死体。
11歳の少年が見た光景を、読者も知ることになります。

◆「はじめに」を小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)が寄稿
「二度と原爆など使ってはいけませんし、戦争だってしてはいけません。どんなにつらい記憶でも、知らないよりは知ったほうがいいと私は思います。本書は読むのも苦しい内容ですが、きっと未来のための知恵を与えてくれるでしょう」(小出裕章さんによる「はじめに」より)抜粋)

◆米澤さんが出版を決意した理由とは
これまで出版の誘いをすべて断ってきた米澤さんが、今回、出版の決意をしたのは、東日本大震災での福島原発の事故と、ふるさとを追われた福島の人々を見て考えが変わったから。人類と核は共存できないことを、あらためて強く感じ、自分のヒロシマ体験を本にして残すことで、少しでも多くの人々に「核」と「戦争」について考えてもらいたい、と考えるようになったそうです。

◆小学校中学年から読めます。
4年生以上で習う漢字には、ふりがなをつけました。

書名:ぼくは満員電車で原爆を浴びた~11歳の少年が生きぬいたヒロシマ
著者:米澤鐡志/語り、由井りょう子/文
定価:998円(税込み)
発行:小学館

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