自分に最低限必要なものは何なのか。家はどれくらいの大きさか。家はいくらぐらいでできるのか。壊れても直せるのか。水は何リットル必要か。電気は自分でつくれるのか。
そんな根源的なことをしっかりと自分の体で確認し、細部に目を向けて行動する。それこそが生活の革命なのではないかと思う。そこから進んでいこう。そうすれば、あまりにも大きすぎると思われている社会システムともちゃんと距離を置き、貨幣経済ともうまく付き合うことができる。システムにもお金にも寄りかかりすぎるのではなく、自立して生活することができる。
それこそが「生きる」ということではないか。
このモバイルハウスという家は、とても小さいけれども僕にそんなことを気付かせてくれた。
(本文より)
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2012年刊行の『独立国家のつくりかた』(同年新書大賞7位)が大きな話題を集めた坂口恭平。彼の活動の原点は、路上生活者からノウハウを学んで「動く家=モバイルハウス」を製作した体験だった。「ひとりで国をつくる」という思想は、「ひとりで家をつくる」という実践から生まれたのである。
本書では、モバイルハウスづくりの発端から製作の過程、完成後の生活体験、3・11による東京→熊本の“家ごと移動”の顛末、そして海外にも広がるモバイルハウス・ムーブメントなど、坂口自ら「ターニングポイント」と位置づける活動のプロセスが、詳細に語られる。そして、「土地とは何か」「家とは何か」「住まうとはどういう営みなのか」などについて、坂口流のシンプルかつ根源的な思考が展開される。リアルかつスリリングな“思考するドキュメント”です!
【目次】
1 実験の始まり
2 土地は一体誰のものか
3 モバイルハウスは家か、車か?
4 自力で家を建てるということ
5 多摩川文明を訪ねる
6 モバイルハウスをつくる
7 インフラを整える
8 駐車場を借りる
9 東日本大震災とモバイルハウス
10 モバイルハウスでの生活
11 一つ屋根の下の都市生活
12 モバイルハウスヴィレッジ計画
13 新しい土地の使い方を考える
14 家とは何か
【著者プロフィール】
坂口 恭平(さかぐち きょうへい)
1978年、熊本生まれ。作家、建築家、絵描き、踊り手、歌い手。早稲田大学理工学部建築学科卒業。『0円ハウス』(リトルモア)、『隅田川のエジソン』(幻冬舎文庫)、『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(太田出版)、『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書)、『思考都市』(日東書院本社)、『幻年時代』(幻冬舎)など著書多数。
http://shinsho.shueisha.co.jp/
書名:モバイルハウス 三万円で家をつくる
著者:坂口 恭平
発売日:2013年8月21日
定価:735円(税込)