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告発した【悪質業者】は、約6万社。 闘う弁護士・宇都宮健児が社会悪の手口を暴く! 集英社新書「わるいやつら」

 ヤミ金も振り込め詐欺も、共通した手段と道具を使っています。
ヤミ金は、多重債務者や自己破産者のリストを「名簿屋」から買います。
「名簿屋」は、おそらく、サラ金の元社員などから多重債務者や自己破産者の名簿を入手していると思われます。
当時、料金は「多重債務者一人につき300円」と言われていましたから、一万人の顧客名簿なら300万円で売れるわけです。
大手サラ金を退職した元社員が、10万人の顧客名簿を持ち出して名簿屋に売れば3,000万円になる。
ちょっとした退職金代わりです。このような名簿に載せられた人を、ヤミ金はターゲットにしていたのです。

振り込め詐欺グループも、多重債務者や自己破産者などの名簿のほか、同窓会名簿、町内会名簿、PTA名簿、教員名簿などを名簿屋から入手してターゲットにしています。
もうひとつ、ヤミ金と振り込め詐欺に共通しているものに「銀行口座」があります。
捕まらないように、彼らは他人名義の銀行口座を「口座屋」から入手するのです。
銀行口座は、通帳、印鑑、キャッシュカードの3点セットで、4~7万円で売買されていると言われています。
それから、「携帯電話」というツールがあります。
身元の判明しない携帯電話を入手して、取立てや詐欺に利用しているのです。
名簿と口座と携帯電話。これらは「三種の神器」と言われていて、三種の神器があれば、拠点が東京にある場合でも、北海道から九州まで日本全国の人をターゲットにすることができるわけです。
【本文より】
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振り込め詐欺など「特殊詐欺」の被害額が過去最高を記録する(2012年)など、社会的・経済的弱者をターゲットにした犯罪が跡を絶たない。悪質な「貧困ビジネス」も横行している。
著者は、弁護士活動をスタートした1970年代に「サラ金事件」を手がけ、以降、クレジット・商工ローン・ヤミ金などの多重債務問題、悪質詐欺商法問題、貧困ビジネス問題など、生活困窮者や経済的弱者を食い物にする社会悪と対峙してきた。
本書では、最前線で闘ってきた弁護士が、現代の社会悪=「わるいやつら」の手口と実態、そして私たちがとるべき対策を具体的に解説する。「騙されない」ための、必携の一冊!

【目次より】
序章 私は、なぜ「わるいやつら」と闘うのか

第1章 サラ金からヤミ金まで
   ヤミ金に手渡される多重債務者リスト/弔電や祝電を利用した脅迫状/「買取屋」の手口/新手の「カード現金化」商法/偽装質屋

第2章 新型詐欺のバリエーション
   「三種の神器」を使った振り込め詐欺の横行/「口座屋」は誰の名前を使うのか/バイク便や小包で現金受け渡し/オレオレ詐欺/架空請求詐欺/融資保証金詐欺/還付金等詐欺/被害回復詐欺/法律事務所に犬の首が投げ込まれる/悪質NPO

第3章 整理屋と提携弁護士
   法律事務所と同化する整理屋/整理屋が広告解禁を喜ぶ理由/提携弁護士たちの悪行/危ない弁護士の見分け方

第4章 跋扈する貧困ビジネス
   無料定額宿泊所で生活保護費をピンハネ/野宿者に不要な治療をして保険点数を稼ぐ病院/個人財産を勝手に撤去する「追い出し屋」/脱法ハウス/保証人ビジネス

第5章 「わるいやつら」を生み出す「わるい政治」

【著者プロフィール】
宇都宮健児(うつのみや けんじ)
1946年愛媛県生まれ。東京大学法学部中退、司法研修所入所。71年、弁護士登録。日弁連多重債務対策本部長代行、同消費者問題対策委員長、東京弁護士会副会長、豊田商事破産事件破産管財人常置代理人、全国ヤミ金融対策会議代表幹事、オウム真理教犯罪被害者支援機構理事長、反貧困ネットワーク代表、「年越し派遣村」名誉村長、日弁連会長などを務める。

http://shinsho.shueisha.co.jp/

書名:わるいやつら
著者:宇都宮健児
発売日:2013年9月13日
定価:735円(税込)

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