「今回の原発事故は重大で深刻だから、国は隠す。私らも撤収して帰れって命令が来たから、帰りますが、ここにはいない方がいいですよ」――福島県警の通信部隊は、浪江農場で作業していた農場長らにこう言い残して現場を去った。
日本を代表するノンフィクション作家・佐野眞一氏は、東日本大震災発生から1週間後に被災地を訪れた。
「場合によっては逮捕されることも覚悟で立ち入り禁止区域に入った」というその場所で見た壮絶な光景とはどんなものだったのか。また、入院中に大津波に遭遇した日本共産党元文化部長で在野の津波研究家・山下文男氏の口から明かされる3・11阿鼻叫喚の様子、そして衝撃の告白とは。
大メディアが伝えようとしない被災地の「現実」を鋭利かつ的確な筆致で伝えるとともに、東日本大震災があぶりだした"日本人の精神"にも触れているのが、『津波と原発』だ。
本編は「日本人と大津波」「原発街道を往く」の二部構成で、「原発街道を往く」は「福島原発の罪と罰」「原発前夜―原子力の父・正力松太郎」「なぜ『フクシマ』に原発は建設されたか」の3章からなり、巻末では、政治学者の原武史氏、ジャーナリストの森達也氏、ソフトバンク・孫正義社長と週刊誌上で行った対談・インタビューのダイジェストを載せている。
書名:津波と原発
著者:佐野眞一
発売日:2011/6/17
価格:1575円