70年安保闘争以来、およそ半世紀近くの時を経て、路上が人の波に覆いつくされた。
議会制民主主義やマスメディアへの絶望が、人々を駆り立てたのか。
果たしてそれは、一過性の現象なのか――。
新左翼運動の熱狂と悪夢を極限まで考察した『テロルの現象学』の作者・笠井潔と、
3.11後の叛乱の"台風の眼"と目される野間易通が、
反原連、しばき隊、SEALDsを始めとする現代の蜂起に託された、時代精神を問う!
笠井潔
「21世紀的な例外状態の到来と急速に進行する権威主義的国家再編に対抗しながら、
〝3.11後の叛乱〟は持続されていくに違いない。」
野間易通
「私はこれを、教義も教会も修道院も持たない新たなレフトの誕生ととらえたい。」
【本書の内容 ――目次より】
第1章 「8.30」の光景を前に 笠井潔
野間易通さんとの出会い 他
第2章 雲の人たち 野間易通
1991年のニューヨークと2015年の国会前 他
第3章 「何者かである私」と「何者でもない私」 笠井潔
蜂起の意味するところ
大衆蜂起を生きる「何者でもない私」
アイデンティティと「何者かである私」 他
第4章 国民なめんな 野間易通
3.11以降のナショナリズム
反レイシズム運動のなかのナショナリズム
「国民」の復権 他
第5章 ピープルとネーション 笠井潔
社会運動の2011年以前/以降
二つの民主主義 他
第6章 レイシストをしばき隊のこと 野間易通
デモでも抗議でもない
レイシストをしばき隊以前の対抗行動 他
第7章 大衆蜂起と結社 笠井潔
シングルイシュー
3.11後の〈結社〉 他
第8章 人々を路上へとドライブするもの 野間易通
「しばき隊」と四季協会
「しばき隊」はプロテストの本流ではなかった
集合的アイデンティティというドライバ 他
第9章 〈2011〉と「左翼」の終わり 笠井潔
結社についてふたたび
「裏切られた革命」という思考停止 他
第10章 Struggle For Pride 野間易通
「叛乱」か「生活保守」か
新たなレフトは誕生するか 他
【著者プロフィール】
笠井潔(かさい・きよし)
1948年生まれ。作家・思想家。79年『バイバイ、エンジェル』で第6回角川小説賞を受賞。
著書に『テロルの現象学』他多数。
野間易通(のま・やすみち)
1966年生まれ。『ミュージック・マガジン』副編集長等を経てフリーに。
反原発連合、レイシストをしばき隊、C.R.A.C.に参画。
書名:3.11後の叛乱 反原連・しばき隊・SEALDs
著者:笠井潔 野間易通
発売日:2016年7月15日
定価:本体760円+税
ISBN 978-4-08-7207840-5