2023年10月2日、研究者のカタリン・カリコさんが、「mRNAワクチン」の開発への大きな貢献により、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
mRNAワクチンは、遺伝物質「mRNA」を活用した全く新しいタイプのワクチン。短期間で有効性90%以上という高い効果をもたらし、新型コロナウイルス対策に大きな役割を果たしたことで知られる。
今回は、そのカリコさんの半生を、子どもでも理解しやすい内容で紹介した児童書『カタリン・カリコ mRNAワクチンを生んだ科学者』(ポプラ社)を紹介しよう。
日本では2021年、カリコさんとその恩師へのインタビューを収録した『世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ』(ポプラ社)が出版され、BOOKウォッチでも取り上げたが、これは大人向けのもので、子どもにはとっつきにくい。一方、同じ著者が手がけた本書は、小学校高学年から親子で読める内容となっている。
社会主義体制下のハンガリーに生まれ、豊かな自然の中で科学の目を培った幼少期から、信念を曲げずに研究を続けてきたカリコさん。研究費が出なかったり、降格させられたりなど、さまざまな憂き目にあいながらも、あきらめることが無かったのは、「人の評価よりも自分の好きなことを大切にしたい」「病気の人たちを治したい」という思いがあったからだという。
著者は、テレビ番組「世界一受けたい授業」などで知られるジャーナリスト・増田ユリヤさん。科学や研究職に興味のある子どもはもちろん、大人にとっても読みやすく、親子で読むのにもうってつけの1冊だ
■増田ユリヤさんプロフィール
ますだ・ゆりや/神奈川県生まれ。國學院大學卒業。27年にわたり、高校で世界史・日本史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのリポーターを務めた。日本テレビ「世界一受けたい授業」に歴史や地理の先生として出演のほか、コメンテーターとしてテレビ朝日系列「大下容子 ワイド!スクランブル」などで活躍。日本と世界のさまざまな問題の現場を幅広く取材・執筆している。著書に『新しい「教育格差」』(講談社現代新書)、『教育立国フィンランド流 教師の育て方』(岩波書店)、『揺れる移民大国フランス』『世界を救うmRNAワクチンの開発者カタリン・カリコ』(ポプラ新書)など。池上彰とテレビやYouTubeなどで、ニュース解説も行う。
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