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夏休み明け、わが子が不登校に。どうすれば...と思ったら読む本5選

9月1日 母からのバトン

 夏休み明けの9月1日は、子どもの自殺が1年で最も多い日とされている。「登校したくない」のにそれが許されないことが、彼らの気持ちを追いつめてしまうのかもしれない。

 その危機を回避するため不登校になる子もいる。親としては「生きてさえいてくれれば」と思っても、長引くと不安が募る。こういう時、いったいどうするのが正解なのか? 今回は、そんな悩みに解決の糸口をくれる5冊の本を紹介する。

「どうか、生きて」樹木希林の言葉

 1冊目に紹介する『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社)は、女優の樹木希林さんが遺した言葉と、それを受け継いだ娘の内田也哉子さんが不登校経験者など4名と対話して紡ぎ出した言葉を収めたもの。

『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社)
『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社)

 自らも発達障害で、高校生になるまで同年代の子どもと口を聞いたことがほとんどなかったという樹木さんは、過去の自分と同じような境遇にある不登校の子どもたちが9月1日に亡くなることに心を痛め、逝去直前の病室でも「死なないで、ね......どうか、生きてください......」と窓に語りかけていたという。紹介記事はこちら。→<【試し読み】 9月1日の前に読んでほしい、樹木希林の言葉。「あまりに命がもったいない」<9月1日 母からのバトン>

親のための不登校脱出思考トレーニングも

 次に紹介するのは、不登校コンサルタントのランさんの著書『子どもが不登校になっちゃった!』(すばる舎)だ。

『子どもが不登校になっちゃった!』(すばる舎)
『子どもが不登校になっちゃった!』(すばる舎)

 本書は、ランさんが不登校から我が子を脱出させるために苦悩した約5年間の軌跡を赤裸々に綴ったもの。約500人もの親御さんたちの相談内容からわかってきた「不登校のリアル」や「不登校あるある」、「不登校回復までの7つのステップ」、「親のための不登校脱出思考トレーニング」など、具体的かつ実用的なアドバイスが多数紹介されている。紹介記事はこちら。→<不登校になりやすい親子の組み合わせはある?

親の不安に答える本

 アドバイスのおかげで不登校への対処法が分かっても、親の不安が解消されるわけではない。そんな人にオススメなのが不登校専門カウンセラー・阿部伸一さんが、不登校になった子を持つ親の悩みに寄り添う『「もう大丈夫!」不登校そうだんしつ』(ジーオーティー)だ。

『「もう大丈夫!」不登校そうだんしつ』(ジーオーティー)
『「もう大丈夫!」不登校そうだんしつ』(ジーオーティー)

「学歴はやっぱり必要だと思う。こんなに勉強しなくて大丈夫ですか?」「『明日は行く』って言ったのに...。どうして学校に行けないのに『行く』と言うの?」「小さい頃は明るくて素直でいい子だったのに、何が悪かったんでしょう?」......などなど、よくある悩みに、多くの不登校を見てきた経験から回答している。また、いじめの実情など、保護者からは見えにくい現在の学校の状況を知ることもできる。紹介記事はこちら。→<「明日は行く」って言ったのに...。親の不安に答える「不登校そうだんしつ」

復学だけをめざさない解決メソッド

 カウンセラー・今野陽悦さんの著書『学校に行けない子どもの気持ちがわかる本』(WAVE出版)も、子どもの将来を不安に思う親の気持ちを理解したうえで、親が子どもの居場所になるための方法を提案している。 

『学校に行けない子どもの気持ちがわかる本』(WAVE出版)
『学校に行けない子どもの気持ちがわかる本』(WAVE出版)

 自らも不登校・引きこもりを経験した今野さんにより、子どもの立場に寄り添った解決の方法を、優しい語り口で説明されている。「復学だけをめざさない解決メソッド」として、親が心を落ち着けるためのワークや、子どもの心に寄り添う5つのステップなど、具体的な方法が豊富に掲載されている。紹介記事はこちら。→<復学だけをめざさない。不登校専門カウンセラーが教える、親にこそ必要な「心のケア」

感情と教育の2層構造を分析

 最後に紹介するのは、フリースクール校長・小林高子さんの著書『不登校、頼ってみるのもいいものだ』(クロスメディア・パブリッシング 発行、インプレス 発売)だ。

『不登校、頼ってみるのもいいものだ』(クロスメディア・パブリッシング 発行、インプレス 発売)
『不登校、頼ってみるのもいいものだ』(クロスメディア・パブリッシング 発行、インプレス 発売)

 2万人以上の不登校家族を見てきた著者が、子どもの"イヤとの戦い"に疲れたお母さん、お父さんに「もっと頼ってみてもいいんですよ」とアドバイスを送る。不登校を感情と教育の2層構造で分析し、「出口の見えない不登校の迷路」から抜け出すヒントをくれる1冊だ。紹介記事はこちら。→<「不登校の迷路」から抜け出すための、お母さん・お父さんレッスン。

 文科省の調査によると、小中学校における不登校児童生徒数は、全国で約24万5千人に及ぶという(2022年度)。不登校の子どもも、それを不安に思う親も珍しくない。今回は、不登校経験者や専門家による具体的なアドバイスが書かれている5冊を選んだ。


  • 書名 9月1日 母からのバトン
  • 監修・編集・著者名樹木希林、内田也哉子 著
  • 出版社名ポプラ社
  • 出版年月日2022年8月 8日
  • 定価1,012円(税込)
  • 判型・ページ数新書判・286ページ
  • ISBN9784591174630

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