2023年5月26日発売の「プレジデント」(2023年6月16日号)は、「毎日が楽しくなる時間術」と題した特集を組んでいる。限りある自分の時間をどうしたら増やすことができるだろうか。
時間学の第一人者である千葉大学大学院人文科学研究院の一川誠教授が、体感時間を伸ばすことができる工夫について解説している。代謝が盛んに行われているとき、「心の時間」は速く進む。「心の時間」が速く進むと、現実の「時計の時間」は相対的に遅く進んで感じられることになる。
代謝が低い、起床から朝9時ごろまでは、あまり脳に負担がかからない作業でウォーミングアップする。1日の段取りを考えたり、TO DOリストを作ったりするといい。
9時から正午は、代謝が上がり頭が冴えるので、企画者を作ったり、難しい資料を読み解いたり、頭を使う作業が向いている。 16時から18時ごろは、代謝がピークに達するので、体を動かすのにうってつけだ。外回り営業をしたり、社外に出て打ち合わせをしたりするのにぴったりだという。
また、汚い机や薄暗い部屋での仕事、部屋でのスマホいじりは、時間がたつのが速く感じられるため、残念な行動だとしている。 反対に、時間の流れをゆっくりと感じるのは、照明が明るく、机まわりが広い部屋だ。ほどよい音量の作業用BGMやアロマ、刺激の強いドリンクやお菓子もお勧めだという。
作業療法士の菅原洋平さんが、脳科学を活用した、「時間泥棒撃退作戦」を教えている。脳が1つのことに集中できるのは、4分半しかない。また集中していても約16分に一度は別のことを考えるため、作業は15分に区切ることを勧めている。
また、脳は臓器。30分で血流が滞り、パフォーマンスが落ちるので、30分に一度、立ち上がったり、トイレに行ったりして、体を動かすこと。知的作業を集中できる限界は90分と言われている。4つのタイムリミットを知ることが大切なようだ。
動画配信サービスを延々と見続ける人も多いだろう。それは新しい情報を求めるドーパミンの仕業だ。「今は見ない」とスルーすると、冷静に見極められるそうだ。
「部屋にあふれたモノが自分の時間を奪っていく」として、ミニマリストの生活法を紹介している。ベストセラー『ぼくたちに、もうモノは必要ない』の著者である佐々木典士さんは、季節によって着る服を固定で決めて「制服化」しているので、服装に悩む時間もないという。大きな家具、テレビ、装飾品などがないのはもちろんだが、いつかやろうと思って手をつけていないモノも、やる気や時間を奪う原因になるので、手放すことを勧めている。
どうでもいい仕事、いわゆる「ブルシット・ジョブ」に潰されない方法について、社会学者の酒井隆史さんが語っている。新しい趣味を探したり、今の趣味をもっと掘り下げてみたりするほか、海外の情勢や海外ニュースに触れ、客観的かつある種の「自虐的」な視点を持つことを勧めている。それは、「ブルシット社会」の価値観に染まらず、心のゆとりを持つことが大事だからだという。
時間術で効率化しても、なぜ「自分の時間」は増えないのか。ベストセラー『人新世の「資本論」』の著者、斎藤幸平・東京大学大学院総合文化研究科准教授は、「資本主義は時間を無限に奪う」と指摘、社会全体で労働時間を減らしていくキャップ(上限)制を提案している。
まずは「週休3日制」の実現だ。3.5%の人が本気で立ち上がると、社会が大きく変わるとも話し、脱成長的なシステムへの移行が本質的な解決策だと考えている。
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