「マイクロモザイク」とは、17世紀にローマで栄えたガラスの超絶技巧による工芸美術。バチカンが門外不出の技術としたが、19世紀に一度途絶えてしまった。
現在は、ローマ・バチカン博物館、イギリス・ビクトリア&アルバート博物館などに、当時の宗教的なモチーフのほか、水彩画のような緻密な風景や人物像、また、3D陰影と見まごう静物画のようなマイクロモザイクが展示されている。
2023年6月10日に発売される岩田依子さんの著書『MICROMOSAICO マイクロモザイクの世界』(亥辰舎)は、このマイクロモザイクの「おそらく日本初」の専門書。博物館から抜け出したかのようなマイクロモザイクの数々が、美しい写真とともに惜しげもなく多数掲載されている。
岩田さんは、およそ半世紀をかけて日本随一のアンティークのマイクロモザイクコレクションを収集してきた個人コレクター。本書は、その3年におよぶ執筆を経て完成した。
紀元前からペルガモン(現在のトルコ)で製造されたモザイクが、時空を超えて姿や形、意味を変えながらマイクロ化した経緯について、宗教、歴史、職人の系譜など多様な視点からまとめられている。
美術や工芸に興味のある人、現在の地図上の国境を超えて、歴史、遺跡、構造物に興味のある人、ファッション、ジュエリー、アカデミーなど多岐にわたる分野で研究を重ねる人など、あらゆる人にオススメの専門書だ。
6月3日に開かれる出版記念イベントでは、岩田さんによる講演と、本に掲載されたピースの展示・販売が行われる(一部非売品あり)。また、8月2日から7日にかけて、丸善丸の内本店4Fで「マイクロモザイク展」が、10月には東京・三田のイタリア文化会館で著者講演会が開かれる。
■岩田依子さんプロフィール
いわた・よりこ/大学卒業後1996年よりイタリアへ留学。フィレンツェの宝飾専門学校「Le Arti Orafe」にて、ジュエリー全般について学び1999 年に卒業。その後Bino Bini 宝飾工房にてヨーロッパ七宝、トスカーナ州立技術学校にてジュエリーデザインを学ぶ傍らフィレンツェ大学にてエトルリア学を学ぶ。現在は家業の宝飾店を営みながら、イタリア語講師などイタリア文化の普及に努める。
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