コミュニケーションを円滑にする雑談。ある意味「どうでもいいこと」だけれど、相手の興味をひく「ちょっと知的な話」ができると、一目置かれる人になれそうだ。そこで今回は、会話のセンスが上がる雑学・豆知識が身につく本を、BOOKウォッチ編集部のメンバーが選んだ。
『ぶんぶくたぬきのティーパーティ』
突然だが、あなたは「たぬき」と「アライグマ」の区別はつくだろうか? つく? では、「しっぽがシマシマ」なのは、どっち?
少しでも悩んだ人には、この漫画がおすすめだ。人間社会で生きる、少し抜けた化けだぬきの「屋島ふみ」と、化けるのは下手でたぬき姿のままだが、博学で思慮深い「お兄ちゃん」を中心にしたギャグ漫画。主にお兄ちゃんが披露する豆知識のおかげで、読んでいるだけで動物の生態をはじめ、さまざまな雑学に詳しくなれる。少なくとも、たぬきとアライグマを間違うようなことは二度となくなるだろう。
かわいい絵柄に織り込まれた、ブラックなネタもくせになる(「アライグマを絶滅させれば間違われる心配も無くなるわ 全面戦争よ」なんてセリフが飛び交う)。連載中の続編『ぶんぶくティーポット+』とあわせて。(T)
『ゾウが教えてくれたこと ゾウオロジーのすすめ』
ゾウの鼻はなぜ長い? など誰もが考えたことのある疑問から、足し算やコミュニケーションなど驚きの知能まで、ゾウの生態がよくわかる本。事実をただ解説するだけでなく、ゾウ研究者の著者・入江尚子さんのゾウへの愛が端々から伝わってくる。読み終わったら、あの大きな体をぎゅっと抱きしめたくなる。(H)
紹介記事はこちら→ゾウの鼻はなぜ長いのか、考えたことはありますか?
『うんち学入門 生き物にとって「排泄物」とは何か』
毎日出している「うんち」のことを、私たちはどれだけ知っているだろうか。なぜくさいの? なぜ茶色なの? そもそもなぜつくられるの? 本格的な生物学の知識がわかるとともに、小学生男子のヒーローになれる一冊。(H)
紹介記事はこちら→「うんち」のにおいの正体は食べ物ではない。
『どこからが病気なの?』
「病気と平気の線引きはどこ?」という難問に、病理医の「ヤンデル先生」が、人の体と医療を群像劇にたとえながら、皮肉とユーモアたっぷりに答えていく。
病気だと決める人は誰? 口内炎は病気なの? 病は気からって本当?...といった素朴な疑問に対して、「知的好奇心を満たしたい人が失望しない程度に学術的で、お得情報ハンターたちが喜ぶほどに実践的で、医者としての責任を果たせる程度に正確で、誰もが気軽に読みやすい、高校生向け新書として答えていく...。大変そうだ。そうとうがんばらないといけないぞ。」終始こんな調子のぼやきやツッコミが満載で、フフっと笑いがこぼれる。あいさつ代わりについ不健康自慢を始めてしまうお年ごろにおすすめ。(N)
『ラブカは静かに弓を持つ』
2023年本屋大賞第2位。第25回大藪春彦賞受賞。数年前に実際にあった事件を題材にした「スパイ×音楽」小説。音楽著作権の知識を得ることができる。
主人公の橘は、音楽著作権を管理する団体の職員。音楽教室からの著作権使用料の徴収を発表したことで、団体に対する世間の風当たりは強まっていた。そこで橘は、著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむため、一般客を装って町の音楽教室に潜入することを命じられる――。ちなみに、「ラブカ」は妊娠期間が3年半もある深海ザメの一種。「長期間息をひそめて暮らすスパイのイメージに合っている気がした」ということで、スパイを「ラブカ」と表現している。
私は学生の頃に吹奏楽部と合唱部にいて、いまは子どもが音楽教室に通っているけれども、著作権など考えたこともなかった。ニュースを見て気にはなったものの、よく知らないままで、本書を読んでその背景が見えてきた。身近な舞台設定も相まって、のめりこんで読んだ。スパイ行為を働く主人公の視点に立ち、じりじり、ヒヤヒヤしながらページをめくっていくこの感じが癖になる。(M)
書評はこちら→【本屋大賞ノミネート】心震える「スパイ×音楽」小説。読んでて息が詰まりそうに...。
『名探偵コナン』
現在公開中の映画『黒鉄の魚影(サブマリン)』も大ヒットしている、言わずと知れた人気推理マンガ。作中に出てくる知識・ライフハックは記憶に残るものが多い。特に「ウミヘビに咬まれた時は、アイスティーに含まれるタンニンが毒を中和してくれる」、「ケモメカニカル効果により、ガラスに水中でハサミを入れると、ガラスを簡単に切れるようになる」、この2つはどちらもどこで使うかわからない最高の雑学。(O)
『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』
本文752ページ、索引だけで40ページ近くある大著だが、2年ほど前にベストセラーにもなった。最近はやりのリスキリング時代のバイブルということになるのかもしれないが、とにかく独学で何かを学ぼうとするなら、この本に勝るものはないと実感している。単に学び方を学ぶというスキルにとどまらず、人文系から自然科学、語学まで、あらゆるジャンルについて、その意味やトリビアも満載されており、ここを起点として、さらに様々な本や資料の森に分け入っていくこともできる。
何か知ろうとすると、今でもこの本を開く。AI(人工知能)に負けない人間の知を確認できる。なお、著者はサルではなく、人間。(S)
『東大教授がおしえる やばい日本史』
「あの偉人、実は...」系の書籍が好きで、つい手に取ってしまう。様々な功績や偉業を成し得て「偉人」と呼ばれているのに、ポンコツな一面が垣間見えると途端に身近な(親しみのある)存在に思えてくるのがたまらない。同じシリーズで「やばい世界史」もあるが、2冊続けて読むと「知的満足感」とでも言うのか、雑学が頭に入ったことによる幸福を感じることができるので、おススメ。和田ラヂヲさんのイラストもいい味を出している。(O)
書評はこちら→徳川家康が肖像画まで残した「やばい」エピソードとは?
『図解 応急手当ハンドブック』
ふとした時の小さな怪我や体調不良に対応するための豆知識を身につけたいと思い、購入した本。医療に関する知識がなくても、家庭でも起こりうる怪我や体調不良が項目別で書かれており、イラストも豊富でわかりやすい。万が一の時に、慌てず、騒がず、動じず対応できるようにしておくために、一家に一冊あって損はないと思う。(O)
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