「今日は暑いですね」 「お元気ですか?」
「雑談」といえば、こんな当たり障りのない話という印象が強い。Google人材育成統括部長を経て、人材・組織開発などを手がけているピョートル・フェリクス・グジバチさんは、日本のビジネスの場での「雑談」を「あまりにもったいない」と言う。世界のビジネスシーンでは、「雑談」の常識が全く違うと言うのだ。
では、世界のビジネスパーソンが話していることとは? ピョートルさんの著書『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』(クロスメディア・パブリッシング)が教えてくれる。
ピョートルさんはポーランド出身で、ドイツやオランダ、アメリカで暮らしたのち、23年前から日本に住んでいる。日本のビジネスパーソンの雑談を聞いていて、冒頭に挙げたような、「定番のフレーズ」が交わされることが多いと感じているという。
日本では、「雑談」は本題に入る前の「雰囲気作り」の役割が大きく、内容はあまり重視されない。しかし、世界のビジネスシーンでの「雑談」の役割は全く違う。「話す側と聞く側がお互いに理解を深めながら、行動や意識を変化させるような創造的なコミュニケーション」なのだそうだ。
互いに自己開示して、信頼関係を深め、自由に情報交換し、仕事の成果につなげる。そんな、目から鱗が落ちる世界基準の「雑談」の作り方が、本書では解説されている。
本書では、今すぐ意識できる「雑談のNGポイント」を6つ紹介している。
たとえば、「大学はどちらですか?」「以前はどこにお勤めでしたか?」など、「ファクト」ベースの質問は意外と危険だという。学歴にコンプレックスがあったり、前の会社でリストラされて引きずっていたりする場合もあり、相手を傷つける恐れがあるからだ。仕事で大切にしていることなど、価値観や信念の話をするといいそう。
また、日本ではよく「政治・宗教・野球」の話はするなと言われるが、「宗教」の話は無理に避ける必要はない、むしろ聞くべきことはきちんと聞くほうがいいという。仕事相手がイスラム教の人であればお祈りの時間と打ち合わせの時間を被せない、ヒンドゥー教の人であれば基本的に肉を食べないので会食の店選びに気をつけるなどの配慮が必要だからだ。
他にも、以下のNGポイントが紹介されている。
・相手のプライベートに、いきなり踏み込まない
・ビジネスの場で「収入」の話はしない
・「シチュエーション」を考えた雑談を心がける
・「下ネタ」で距離感が縮まることはない
では、世界のビジネスパーソンはどんな話をしているのだろうか。「『雑談』に明確な目的を持つ」「周到な『準備』をして雑談に臨む」など、「雑談」のイメージが変わる考え方とメソッドが、本書に詰まっている。
【目次より】
はじめに 日本人は「雑談」を世間話や無駄話と考えている
第1章 ここが違う! 「世界」の雑談と「日本」の雑談
第2章 グーグルの強さの秘密を知る! 強いチームをつくる「社内雑談力」の極意
第3章 どうすれば結果が出せるのか? 武器としてのビジネスの雑談
第4章 何を話すべきではないのか? こんな雑談は危ない! 6つのNGポイント
おわりに リモートワークの増加が雑談の重要性を浮き彫りにした
■ピョートル・フェリクス・グジバチさんプロフィール
Piotr Feliks Grzywacz/連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者。プロノイア・グループ株式会社 代表取締役、株式会社TimeLeap取締役、株式会社GA technologies社外取締役。
モルガン・スタンレーを経て、Googleで人材開発・組織改革・リーダーシップマネジメントに従事。2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。ベストセラー『NEW ELITE』他、『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』『世界最高のコーチ』など執筆。ポーランド出身。
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