許さない、あの女だけは。愛妻家で有名な夫に、ママ友が近づいた。
混迷するダブル不倫の行き着く先は――？
KADOKAWAから発売された『お宅の夫をもらえませんか？』（原作：いくたはな、作画：みこまる）は、不倫で人生が激変する2人の女の物語だ。
結婚して10年。夫の実家は農家で、なな子は義父母と同居して農業を手伝っている。「ほんととろいわね」「使えない」......。毎日のように、特に義母からいびられている。
夫の栄一は高校の同級生で、卒業してすぐに結婚した。しっかり者の娘の一花に、わんぱくな息子の耕太、会社勤めの夫。外からは幸せそうに見えるかもしれない。しかし、なな子は限界寸前だった。
結婚する前に夫は「ただ家にいてくれるだけでいい」と言っていたが、いざ結婚したら毎日農業を手伝わされている。しかも罵声を浴びながら。料理をすると「何かねぇ この野菜の切り方は......」と文句をつけてくるし、風呂に入ろうとすると「嫁だから後でええ」と夫を優先する。朝から晩まで嫌味嫌味嫌味......。なな子が落ち着ける場所は、トイレだけだった。
さらに義父母は、孫の扱いにも男女で差がある。耕太が生まれたときは「男の子よ！」とすごい喜びようだったが、一花に対しては成績にしか関心がない。がんばり屋さんの一花がこんなところにいなくていいようにしてあげたいと、なな子は思う。
家に帰りたくない。農家の嫁以外のことをやってみたい。パートできたら、農業する時間が減るのかな......。なな子は勇気を出してスーパーのパートに応募し、採用された。
アルバイト禁止の学校に通い、卒業後すぐに結婚したなな子は、社会に出た経験がない。初めての職場、初めての同僚、初めての上司。大丈夫かな......とドキドキしていたが、温かい雰囲気ですぐにとけ込めた。なかでも、店長の忍の存在が大きかった。
忍は同じ子ども園の保護者だった。忍と妻の香織が2人で子どもの送迎をしているのを見たことがある。子ども同士が仲良くなり、自宅に行ったこともある。新しくて大きな家だった。香織はデザイン関係の仕事をしていて、インテリアも素敵。かっこいい仕事があり、優しい夫がいて......。香織と比べてなな子は、自分が恥ずかしくなった。
パートで帰りが遅くなると、「役立たず！！ 何様なんだい！！」と義母から怒鳴られる。夫に子どものお迎えを頼んでも、「こっちは気楽なパートじゃないんでね 責任とかさ いろいろあんの」とあしらわれる。「私とあなた――何が違うの？」
ため息をつくなな子に、「どうしたの？」「いつでも相談して どんなことでもいいから」と忍が声をかけてくる。家に居場所はなくても、いまや職場が居場所だった。毎日がキラキラしていて、なな子はいつしか忍のことを好きになっていた。
そんなある日、なな子はふと「忍さんみたいな人に もらわれてたらな――...」と口にする。それを聞いた忍はなな子の手首をつかみ、真剣な顔つきで見つめてきて――。
そしてある事件をきっかけに、なな子は忍と一線を越えてしまう。そこからどんな泥沼の展開になっていくのだろうか......。一方の香織は、夫の様子がどうもおかしいことに気づく。夫が不倫していたのはママ友で、夫の職場で働くパートの女。その事実を知ったとき、香織が下した決断は――？
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