2002年3月、福岡県北九州市で、2人の男女によって2人の子どもを含む7人が惨殺されていることが発覚した、「北九州監禁連続殺人事件」を覚えているだろうか。当時からこの事件を追い続けてきた北九州市出身のノンフィクションライター・小野一光(いっこう)さんが、取材で明らかになった真相を『完全ドキュメント 北九州監禁連続殺人事件』(文藝春秋)にまとめた。
事件が発覚したきっかけは、17歳(当時)の少女が監禁状態から脱走したことだった。少女に対する傷害・監禁の疑いで調べが進むうち、7人の殺害が明らかになる。犯人は松永太死刑囚と、内縁の妻であった緒方純子受刑者。2人は、少女の父である知人男性を殺害したのち、緒方受刑者の家族6人に対し、電気コードにクリップをつけた器具で"通電"するなどの虐待を繰り返して命を奪っていった。
この事件の最大の特徴は、松永死刑囚によるマインドコントロールだ。殺害された被害者たちと、共犯の緒方受刑者は、みなそれぞれ脱走の機会があったにもかかわらず、虐待が続く同居生活から逃げ出すことができなかった。しかも、実の家族に手を下せという松永死刑囚の指示に従い、犯行に加担してしまった。彼らは、なぜこのような状況におちいったのだろうか。
小野さんは2人の逮捕の2日後に現場へ入り、事件の取材を続けてきた。小野さんの得てきた情報には、裁判の傍聴から、松永死刑囚との面会・手紙のやり取り、福岡県警担当記者・司法担当記者から聞き出した"表に出ない"真実までが含まれる。当時の証言にとどまらず、年月を経て初めて明らかになった新事実も本書に盛り込まれた。まさに、事件の「完全」な真実に迫った一冊だ。
■小野一光さんプロフィール
おの・いっこう/1966年、福岡県北九州市生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーに。「戦場から風俗まで」をテーマに、国際紛争、殺人事件、風俗嬢インタビューなどを中心とした取材を行う。著書に『風俗ライター、戦場へ行く』『連続殺人犯』『震災風俗嬢』『新版 家族喰い――尼崎連続変死事件の真相』『冷酷 座間9人殺害事件』『昭和の凶悪殺人事件』など。
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