音楽グループ「いきものががり」でギター、ボーカルとして活躍する水野良樹さんが、昨年「清志まれ」として小説家デビューした。初の著書『幸せのままで、死んでくれ』(文藝春秋)は同タイトルの「主題歌」が同時配信され、大きな話題となった。
そして今回、2作目となる小説『おもいでがまっている』が同じく文藝春秋から、3月22日に発売されることが決定した。
「待つ」ことでしか、進まなかった人生がある。
今は古びた平成初期の新興マンション。
その一室に、ひとりの年老いた男が、孫とともに住んでいた。
男が訥々と語る、心温まる、この部屋の思い出。
孫はここで、ずっと母を待っている。この部屋に残された母の愛に囲まれて。
しかし、男が語る思い出はすべて"嘘"だった。 かつてこの男は、とある幼い兄妹から、この部屋を奪った。
男には、そうしなければならない、痛切な理由があった――。
風吹く部屋で、ずっと誰かを待ち続けた、ある家族と男の物語。
刊行にあたり、水野さんは次のようにメッセージを寄せている。
すぐに話せて、すぐに理解できる。
待つことが少なくなったそんな世界において、人に会えず、先が読めず、いつ終わるかわからない、待つことを強いられた3年間でもありました。
今という瞬間を侵食する過去との向き合い方。そして場所に沈殿し、宿り続ける記憶。
人生という自分たちの時間を、前に進めようともがく人々の物語です。
また本小説をモチーフとした楽曲「ただ いま (with 橋本愛)」も2月13日より各種音楽配信サイト・ストリーミングサービスで先行配信している。
今回の「主題歌」は、女優の橋本愛さんが初めて作詞を手掛け、歌唱を担当。作曲は著者の清志まれさん自身が行い、編曲には鈴木正人さんを迎えた。
透明感のある橋本さんの歌声とともに、作品の世界観に浸ろう。
■清志まれ(水野良樹)さんプロフィール
きよし・まれ/1982年生まれ。神奈川県出身。2006年「いきものがかり」でCDデビュー。 グループ活動のみならず、ソングライターとして楽曲提供多数。 2022年に初小説『幸せのままで、死んでくれ』(文藝春秋刊)を刊行。
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