韓国語の「ハングル」が生まれたのはいつかご存じだろうか?
ハングルを発明した王様・世宗の生涯を紹介した本『世宗、ハングルで世の中を変える』(クオン)の日本語版が発売された。現代の学生がタイムスリップして世宗にインタビューするマンガを交え、わかりやすく楽しく読める。
世宗は、朝鮮王朝4代目の王。1397年生まれだ。子どものころは本が大好きで、暇さえあればずっと本を読み、音楽と絵画にも秀でていたという。
もともと、朝鮮王朝では中国から取り入れた漢字が使われていた。しかし、漢字は習得が難しいため庶民には普及していなかった。
王宮の門には、国民が何かを訴えたいときに打つ、申聞鼓という太鼓が設置されていた。申聞鼓を打ちながら無念を訴える庶民に、世宗はこのように質問した。
「理不尽な処分を記して地方の役所に出せばよいものを、なぜ申聞鼓を打つのか?」
「我々のような文字を知らない者が、どうやって訴状を書くというのですか?」
「地方の役所で、代わりに書いてはくれないのか」
「代筆してくれたとしても読めないので、官吏同士が賄賂をやり取りし、事実と異なるように書いたとしてもわからないのです。たとえ正確に記されていても裁判の過程でその内容を確認できないから、理不尽な目に遭うことが多いのです」
(本文より)
世宗は庶民に字を教えたいと思ったが、食べていくだけで精一杯の人々が数万もの漢字を学ぶ余裕はない。そこで世宗は、庶民でも簡単に学べて使える文字を作ることにした。こうして1443年に作られたのが「訓民正音」、現在のハングルだ。
世宗の夢と苦悩、そしてハングルの成り立ちがよくわかる一冊。韓国語の理解が深まり、韓国語の勉強が今よりもっと面白くなるはずだ。
【目次】
日本語版によせて
第1章 世宗の夢
第2章 新たな文字 訓民正音
第3章 訓民正音誕生と頒布
第4章 訓民正音を広めるために
第5章 ハングルのすばらしさ
世宗の年譜
「ハングルの日」の歴史
参考資料
ハングル字母表 反切表
訳者あとがき
■キム・スロンさん
世宗国語文化院院長、ハングル学会理事、韓国外国語大学教育大学院客員教授、世宗大王記念事業会専門委員を務める。2018年〈ハングルの守り人〉に選ばれたほか、大韓民国韓流大賞、世宗文化賞大統領賞など数々の賞を受賞。子どもたちと一緒に笑い合うことが好きで、夢の学校・ヌルプルン自然学校(韓国・驪州市)の名誉校長を務めるほか、『誰もが知っておくべき訓民正音、ハングルの話28』、『笑うハングル』、『偉大な世宗ハングル』(キム・スヒョンとの共著)など子ども向けの著作も多数手がけている。
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