「バークレー日本賞」の第5回受賞者に、小説家の柳美里さんが選ばれた。同賞は、米カリフォルニア大学バークレー校日本研究センターが創設した賞で、世界における日本の理解に重要な貢献をした人物に贈られる。
数年に一度受賞者が発表されるバークレー日本賞は、これまでに2008年に小説家の村上春樹さん、2009年に映画監督の宮崎駿さん、2013年に音楽家の坂本龍一さん、2017年に物理学者の梶田隆章さんが受賞しており、柳さんで5人目の受賞となった。
柳さんは2020年、著書『JR上野駅公園口』(河出書房新社)の英語版『Tokyo Ueno Station』(モーガン・ジャイルズ訳)が、アメリカで最も権威のある文学賞である全米図書賞(National Book Awards 2020/主催:全米図書協会)翻訳文学部門を受賞し、大きな話題となった。
バークレー日本賞は柳さんの授賞について、このようにコメントしている。
「柳美里氏の作品には、厳しい現実や極限状況に置かれた人々の描写が多いにもかかわらず、その根底には希望があり、個人の自由を尊重する多様性・公平性・包括性のある社会の構築にむけて、日本から世界に力強いメッセージを発信し続けています」
柳さんをはじめとして、近年日本の女性作家への世界からの注目度が高まっている。今回の受賞で、よりいっそう日本の女性文学が盛り上がりを見せるに違いない。
■柳美里(ゆう・みり)さん
1968年生まれ。高校中退後、東由多加率いる「東京キッドブラザース」に入団。俳優を経て、87年演劇ユニット「青春五月党」を結成。93年『魚の祭』で岸田戯曲賞を最年少で受賞。97年『家族シネマ』で芥川賞受賞。2015年に鎌倉から福島県南相馬市へ転居、2018年には南相馬市小高区にブックカフェ「フルハウス」を開業、自ら店長を務める。2020年『JR上野駅公園口』の英語版『Tokyo Ueno Station』(モーガン・ジャイルズ訳)で全米図書賞翻訳文学部門を受賞。なお『JR上野駅公園口』は、現在12の国と地域で刊行され、4つの国と地域でも刊行準備中。
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