思春期で口数の減った我が子。会話もめっきり減って、部屋にこもることが増えた。ただの反抗期ならいいが、もし、知らぬ間に犯罪に巻き込まれていたら――?
親を心配させたくない、こんなことを聞いたら怒られると思い込んで(実際叱られるのだが)、親に相談できなかった経験は誰しもあるのではないだろうか。子どもが本当に知りたいことは、親に聞きづらいもの。親の方でも、「実際のところ」をどこまで伝えるべきかは迷うところだ。
体も心も成長中の10代は、ふとしたきっかけや気の迷いで、足を踏み外すもろさがある。違法行為に手を染めてしまったり、犯罪被害にあってしまったり......。子どもたちは「自分には関係ない」と思いがちだが、「いじめ」にも犯罪の要素があったり、いじめの延長線上に犯罪が顔を出すことも。つまり「犯罪」は誰にとっても身近なのだ。
元・少年院の先生で人気Vtuber、犯罪学教室のかなえ先生の著書、『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』(フォレスト出版)は、10代の子どもと保護者に向けた「犯罪学教室」だ。かなえ先生が、少年院の現場での経験や、犯罪学で得た知識をベースに、犯罪やいじめの被害者にも加害者にもならないためのアドバイスをしていく。
例えば、次のような質問。思春期の子どもが相談してくるとも思えないし、親だって、聞かれたところでうまく答えられる自信はない。
◎SNSで紹介していたバイト、やってもいい?
◎いじめられたら、誰に相談すればいいの?
◎18歳以上なら風俗で働いたり、AVに出演できるの?
◎加害者になったときの謝罪の方法とは?
◎家族からお金を盗むのは犯罪?
◎18歳(成人)と13歳(未成年)の性交は許されるの?
◎スマホを使って証拠を撮影したり、録音したりするのはアリ?
◎少年院に入った少年は、出所後どうなるの?
◎性行為を動画撮影するのは問題ない?
本書では、かなえ先生が10代が抱えるこうした問題について、上辺の「甘っちょろい言葉」ではなく、「犯罪学」の視点からガツンと答えてくれる。
少年院に勤務していた時、「階段の踏み外し」に気付かないまま犯罪者になってしまった多くの少年たちと関わったというかなえ先生。ユーチューブを始めてからは、そうした過ちに巻き込まれてしまった被害者とも接するようになった。
知識があれば防げたことがたくさんある。
被害者にも加害者にもならずにすむ方法がある。
そうした思いから、本書では「犯罪学」という視点を取り入れることの大切さを説いている。
もくじは以下の通り。
プロローグ なぜ、10代で犯罪学を学ばなければいけないの?
第1章 いじめから身を守るために、いじめについて考える――いじめ
第2章 キミたちのスマホが犯罪の入り口に?――ネット・SNS
第3章 少年法の改正と「特定少年」の誕生――少年法
第4章 すぐそばにある少年犯罪への落とし穴――少年犯罪・防犯
犯罪の予防はもちろん、加害者になってしまったら、どう謝罪すればいいのか、少年院から出所した後の生活など、起きてしまった出来事の「その後」も具体的に書かれている。うっかり加害者にも被害者にもならないために、親子で読んでおきたい一冊。
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