何にも乱されず、凛として穏やか。そんな内面をつくってくれるのが、茶道だ。しんとした空間で、相手のことだけを思ってお茶を点てる。その心得と礼儀作法が、美しい心を育ててくれる。
さらには、生活習慣・所作・コミュニケーション力・「和」の知識・健康などなど......お茶は、私たちにさまざまなよいことをもたらしてくれるのだ。
でも、茶道ってなんだか敷居が高そう......。そんなあなたにおすすめしたいのが、『「お茶」を学ぶ人だけが知っている凛として美しい内面の磨き方』(実務教育出版)。裏千家茶道家の竹田理絵さんが、心を育てる茶道の本質を、ていねいにわかりやすく教えてくれる。
ここでは特別に、第1章全文を11回の連載形式でご紹介する。今回は第8回。茶道では、着物の柄にも気を配るそう。そこに込められた思いとは。
(以下、本文より)
お客様より控えめにする ――思いやりの心になる
お茶会では、お客様を引き立たせるために、着物などもお客様より華やかにならないよう配慮します。
そのため「色無地」といって、一色で統一され、柄がないシンプルな着物が重宝します。
これは、結婚式で花嫁に配慮して、白いドレスや目立つアクセサリーを避けるのと同じです。相手の気持ちを大事にして行動することが思いやりの心となります。(海外でも、結婚式の参列者は白を控えるというマナーがあります。逆に、日本ではよく見かける黒は、海外ではお葬式で着る悲しみの色として認識されています)。
日常生活でも、「自分さえ」という自己中心的な考え方を持っていては、うまくいくものもうまくいかなくなります。相手が求めているものや相手に喜んでもらえるものを想像して察知し、それを差し出すという思いやりの心(ギブの精神)が大切です。
まずは自分から思いやりの心を持って接することで、プラスの印象を与えることができ、相手との信頼関係はさらに強くなることでしょう。
■竹田理絵(たけだ・りえ)さんプロフィール
茶道家(裏千家教授)、株式会社茶禅代表取締役。
神楽坂生まれの三代目江戸っ子。青山学院大学文学部卒業後、日本IBMに入社。日本の伝統文化の素晴らしさを伝えるため、退社後、株式会社茶禅を設立。銀座と浅草に、敷居は低いが本格的な茶道を体験できる茶室を開設する。世界30ヵ国の人々に日本の伝統文化を伝え、のべ生徒数は3万人超。また、10ヵ国以上の国々に赴き、さまざまな場所で茶道の点前を披露してきた。2017年、ブルネイ国王即位50周年時にブルネイにて茶会を披露。各国首相や大使館、官庁、VIP、一部上場企業からの信頼も厚く、お茶会を多数実施。千利休から学ぶビジネス研修は経営者が注目し、企業研修にも取り入れられている。ハーバード大学等、茶道を取り入れた教育・教養研修実績多数。初めての著書『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(自由国民社)は3.3万部を超えるベストセラーになった。
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