「合計160歳の忙しい夫婦がリフォームに挑戦! 果たして快適な生活空間はできるのか?!」――。
50歳まで独身を貫いた92歳の「トーチャン」こと、写真家・田沼武能(たぬま たけよし)さん。68歳の「カーチャン」こと、妻で歯学博士・料理研究家の田沼敦子さん。
本書『棺桶出せるか 田沼家の快適リフォーム顛末記』(小学館)は、夫婦が「これからの人生」を考えて、整えて、活かして、買い替えて、収めた...快適に、楽しく過ごすための居場所づくりに奮闘した約半年の記録。
「都内のあるところに結婚して42年になる写真家の田沼武能さん(通称トーチャン)と歯科医師で料理好きの敦子さん(通称カーチャン)が仲良く暮らしておりました ところが、その家は どこまでもモノで溢れた家だったのです こんな家で棺桶出せるか」
本書は「第一章 考える」「第二章 整える」「第三章 活かす」「第四章 買い替える」「第五章 収める」「第六章 楽しむ」「終章 シンプルな老(スロー)ライフ」の構成。
2019年に写真家として初めて文化勲章を受章した田沼武能さん。本書は田沼家のリフォームの工程やビフォーアフターを、多くのカラー写真とともに紹介している。
さらに、整理収納の第一人者である収納カウンセラー・飯田久恵さん、オーダー家具の専門家、50年来の付き合いのある工務店などの助っ人が登場する。
1963年に建てられたマンション。60年近く住んでいる田沼家の中はモノでいっぱい。エレベーターはなく、4階までの階段の上り下りもキツイ......。
夫婦で「もっともっと快適に過ごせる方法はないかな?」と考えたところ、トーチャンが写真事務所として使っている2階をリフォームする案が浮上した。
カーチャン 「う~ん、とりあえず階段の数は少なくなるけど...」
トーチャン 「だけど、玄関の間口がすごく狭いぞ。こんな狭くって、オレの棺桶出せるのか? いやだよ、ベランダから吊るして棺桶出すなんて......怖いよ」
そんなこんなで始まった4階から2階への大移動。さて、夫婦は快適な新生活を送れるか? 棺桶出せるか?
トーチャンは現役写真家として、ライフワークである世界の子供たちや武蔵野の自然を撮り続けて65年。講演や執筆、大学での後進の指導も。ほぼ毎日のように撮影や出版の打ち合わせがあって、「片付けてる時間なんかないよ」。
一方のカーチャンは、週5日往復100km近い職場の歯科医院に通う。休日には美術館巡りやショートトリップ、食べ歩き、おいしいモノ探し。
夫婦の多忙ぶりがそのまま表れたかのような、ごちゃついた家の中。いったいどこから手をつけたらいいか、呆然と立ち尽くしてしまいそうだが......。
夫婦のこだわりと職人の知恵がつまった「シン田沼邸」は完成した。個人的には「まるで宙に浮いているような便器」に目を見張った。そのほか、玄関の壁と靴箱が移動できるなど、ちょっと聞いたことがないアイデアも。
「私はたくさんの家族や先輩、仲間たちを見送ってきた経験から棺桶がスムーズに家から出ない場面に何度も遭遇していた。なので設計図を見て一番先に思ったのが、『スムーズに棺桶が出せるか』ということであった」
より便利に、よりオシャレに。リフォームにはそんなイメージがあったが、92歳のトーチャンの最大の関心事は「棺桶出せるか」問題。盲点だったが、たしかにこれは重要だ。
本書は、住の「終活」のヒントが満載の「シニアのリフォーム! 決定版」。田沼家の快適リフォームの全貌を、ぜひ写真とともにご覧いただきたい。
■田沼武能さんプロフィール
写真家。1929年浅草の写真館の家に生まれる。49年東京写真工業専門学校(現・東京工芸大学)を卒業後、サン・ニュースフォトスに入社。ここで木村伊兵衛と出会い、師事する。55年から2015年まで日本写真家協会会長。03年文化功労者に選ばれる。現在も主に世界の現状や子供たちの姿、武蔵野の自然など幅広く撮影する。19年写真分野としては初めて文化勲章を受章。
■田沼敦子さんプロフィール
歯学博士・料理研究家。千葉市「高浜デンタルクリニック」院長。本業のかたわら、身近な食材を使って自然にかむ回数が増える料理「噛むかむクッキング」を提唱。オンラインショップ「清薫洞」を運営。
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