カルチャー誌「BRUTUS(ブルータス)」(マガジンハウス)が、10月1日と15日に2号連続で「村上春樹」特集号を発売した。2号連続の特集は、過去のBRUTUS史でも極めてレアだ。
村上春樹さんとBRUTUSの打ち合わせは1年以上前に始まったそう。そこから企画を練っていくうちに、1冊ではとても収まりきらないボリュームに。上巻948号は「読む。」編と題し、自身の著作や愛読書など、村上さんを取り巻く本の話題を掲載。下巻949号は「聴く。観る。集める。食べる。飲む。」編と題して、音楽、映画、アート、食など、村上さんが愛するカルチャーたちをたっぷり紹介している。
上巻「読む。」の目玉は「51 BOOK GUIDE」。自宅の書棚から選んだ本を村上さん自身が紹介する、読書案内だ。読み終わった本は基本、古書店に売るか寄付すると言う村上さんが、それでも手放すことができない51冊とは。日本の小説、洋書、伝記、エッセイ、漫画や料理本まで、村上さんに影響を与えた本を知ることができる貴重な28ページだ。
上巻の表紙を飾る、通称〈村上春樹ライブラリー〉こと、10月1日に開館した早稲田大学国際文学館も紹介。ライブラリーには、村上さん関連の書籍や資料はもちろん、村上さん寄贈の膨大なレコードコレクションや家具なども収蔵されている。建築を手がけた隈研吾さん、ブックディレクションを担当した幅允孝さんのエッセイとともに、いち早いレポートを楽しめる。
「BOOK IN BOOK」のコーナーでは、1984年に村上さんと1ヶ月間現地取材してつくったドイツ特集の誌面をそのまま再録。ドイツにまつわる3本の短編小説と、11本のミニエッセイを読むことができる。ほかにも、村上作品と時代の関わりがわかる著作年表も掲載。
下巻では、本以外のあらゆるカルチャーから村上さんの人間像を見ていく。まずは「聴く。」だ。2021年6月発売の『古くて素敵なクラシック・レコードたち』(文藝春秋刊)は、愛蔵のレコードを独自の音楽観で論じ話題となったが、そこに「入りきらなかった」というレコード126枚を、続編として今回新たに紹介。村上さんの、音楽への愛が止まらない。
「観る。」では、映画「ドライブ・マイ・カー」の監督・濱口竜介さんにインタビュー。原作をどのようにアレンジしたのか、村上作品を映像化する難しさなどが語られている。「集める。」では、村上さん宅の壁に飾られているアートコレクションを堪能できる。村上作品の表紙でおなじみのイラストレーションから、気鋭の現代アーティストの作品までずらり。さらに、『村上T 僕の愛したTシャツたち』(マガジンハウス)を出版するほどのTシャツコレクターでもある村上さんのもとに、あれからまた集まってしまったTシャツたちも紹介。
村上作品といえば、パスタやサンドイッチ、ウイスキーなど、「食」に関するシーンを思い浮かべる人も多いだろう。「食べる。飲む。」では、作品世界の料理たちを「妄想食卓」に。
作家・村上春樹、そして人間・村上春樹をたっぷりと味わえる2冊だ。あなたもこの秋、春樹ワールドに足を踏み入れてみては?
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