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炎上したブロガー主婦の報復 反省しない加害者がたどった末路

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~(1)

 ネット炎上・SNSの誹謗中傷問題は、誰にとっても他人ごとではない。

 SNSを使っていない人でも、ある日突然被害者になる可能性もある。知らないうちに加害者になっていることもある。

 もし問題の当事者になってしまった時、どんな行動をとれるのだろうか。そんな知識を学べる漫画が、『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』(白泉社)だ。

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 同作は、ネット炎上・SNSトラブルを題材とした漫画。正直すぎる変わり者の弁護士・保田(やすだ)が、トラブルの当事者たちから相談を受け、それに法的手段をもって対処していく。

 単行本第1巻では、ガセネタで炎上して誹謗中傷の的になってしまったブロガー主婦、桐原こずえが相談に訪れる。泣くほど苦しんでいるこずえに対して、保田は情報開示請求を提案する。

「特定できる可能性は十分にあります」

 こずえの要望に応じて、保田は情報開示請求を実行。発信者情報が開示されると、次の段階の検討を始める。

3つの選択肢

 情報開示請求によって加害者を特定したあと、保田は3つの選択肢を提示する。

1、内容証明郵便
2、民事裁判
3、刑事告訴

 1の内容証明郵便は、もっとも穏便な選択肢だ。発信者の情報だけでは、まだその家に住む誰が誹謗中傷を行ったのかが明らかになっておらず、係争相手が明確になっていない。それをまず明らかにする目的がある。

 一方の2と3の選択肢は、不可能ではないものの、かなり難易度が高い。刑事告訴になれば、非常に長い時間がかかってしまう。いきなり民事裁判も不可能ではないが、高い賠償金をとることはできない。

 保田は、内容証明郵便を送ってから民事裁判を行うことを提案する。こずえもそれを受け入れ、通知書を加害者に送付する。

加害者側の論理

 一方、これで驚くのが加害者側。加害者は被害者と同じマンションに住む主婦で、こずえのママ友だった。家に送られてきた通知書を見て、やっと事態が深刻化していることに気づく。

「え、コレ、ヤバくない」

 慌てて保田に電話をかけるも、時すでに遅し。「私だけが悪いわけじゃないしィ」。自己正当化の理屈を並べ立てるもどうにもならず、裁判へと移行する。そして被害者へ謝罪と100万円の支払いをすることになる。

「すみ...ひ、すみませ...ん、でしたぁ」

 しかし実は全く反省をしておらず、被害者への支払いを遅延。その結果、家に差し押さえが入ることになり、ひた隠しにしていた卑劣な行為が夫の知るところに。さらに、裁判をしていた事実が近所の住民にもバレてしまう。ここにきてやっと、心から反省するのだった。

誰でも被害者・加害者になりうる

 ネット炎上・SNSトラブルは、ある日突然襲ってくる。自分では何かした自覚がなくとも、急に誹謗中傷を受ける可能性がある。

 また、自覚がなくともいつの間にかに加害者になっている恐れもある。みんなが批判しているからと自分もそれに便乗して誹謗中傷を行えば、ある日突然その報いを受けるかもしれない。

 そうならないために、またはそうなってしまった時に何をすべきか。本作がそのヒントになるかも。


  • 書名 しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~(1)
  • 監修・編集・著者名左藤真通 原作/富士屋カツヒト 作画/清水陽平 監修
  • 出版社名白泉社
  • 出版年月日2021年7月14日
  • 定価715円(税込)

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