風間公親。冷酷無比かつ絶対正義。圧倒的カリスマ性をもつ、警察学校教官。あの男がついに帰ってくる。
「警察小説」に新たな風を吹き込んだとの呼び声高い、長岡弘樹さん著「教場」シリーズの最新作、『教場X 刑事指導官・風間公親』が世に放たれた。シリーズ第1作『教場』は「2013年 週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位。フジテレビ系で2020年・21年の2度にわたり、木村拓哉さん主演でスペシャルドラマ化された。
シリーズ5作目となる本作は、警察学校の風間教官を描いた『教場』『教場2』『風間教場』の前日譚。3作目の『教場0 刑事指導官・風間公親』の続編に位置付けられ、風間が現役刑事として、新人刑事の指導に当たっていた頃の物語だ。装丁に風間の顔が描かれるのは初めて。木村拓哉さん演じる風間のイメージそのものだ。
本作は6つの短編から構成されている。6つの事件をそれぞれ新人刑事が、風間の指導のもとで捜査し、1人また1人と成長していく。
第1話「硝薬の裁き」は、衝撃的な殺害シーンから始まる。益野紳佑は機械部品の製造工場の経営者で、一人娘の麗馨(れいか)をもつシングルファーザー。益野はある朝、麗馨を学校へ送り出し、工場に顔を出すと、「お得意さんを回ってくるよ」と言って、海藤という男の営む質屋へ向かう。益野にとって、海藤を訪ねるのはルーティンとなっていた。益野の妻は半年前、海藤の運転する車にはねられて死亡した。しかしその現場を目撃したのが麗馨のみであったため、麗馨の証言は採用されず、海藤は不起訴となったのだ。海藤に罪を認めさせるため、益野は何度も海藤を訪ねていた。
その日、益野は自分の工場で密造した拳銃を持って行った。銃で海藤を脅し、遺書を書かせ、殺害する。
海藤殺害現場に捜査のためやって来たのは、新人刑事・鐘羅路子。現場で路子を待っていたのは、刑事指導官・風間公親その人だ。「中古品アレルギー」で、質屋の品物に反応しくしゃみを繰り返す路子を見て、風間はこう告げる。
「わたしが治してやろう」
聞き間違えかと風間を覗き込む路子。風間の意図は何なのか。風間は一体どのように、路子を事件解決へと導いていくのか。
『教場X』の各短編は、いわば解答がわかっている状態で、途中式を求めさせる物語。刑事の「わかる」を「できる」に育てる、正真正銘の教育ミステリーだ。この事件を通して路子はどう成長するのか、風間指導官の手腕をとくとご覧あれ。
第1話「硝薬の裁き」は、特設サイトから試し読みできる。
著者の長岡弘樹さんは、「書き終えて、これほどの手応えを感じたのは、まさに『教場』以来」と語る。出版元である小学館も、6話とも傑作揃い、特に第6話「仏罰の報い」を「白眉」と絶賛。著者自身が力作と称する本作、「教場」シリーズファンはもちろん、警察小説ファン・ミステリファンなら誰一人見逃せない、金字塔となりそうだ。
■長岡弘樹さんプロフィール
1969年山形県生まれ。筑波大学卒。03年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞しデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞、同作を収録した文庫『傍聞き』は、40万部を超えるベストセラーとなる。13年に刊行した『教場』は、週刊文春「2013年ミステリーベスト10国内部門」第1位、「このミステリーがすごい!2014年度版」第2位に輝き、2014年本屋大賞にもノミネートされた。他の著書に『教場2』『風間教場』『教場0 刑事指導官・風間公親』などがある。現在、小説誌「STORY BOX」にて、風間公親の警察学校赴任直後を描いた『新・教場』を連載中。
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