大人世代に人気の雑誌「素敵なあの人」のムック、『素敵なあの人特別編集 執着の捨て方』(宝島社)。表紙を飾るのは、歌手の加藤登紀子さんだ。「執着しているヒマはない」と語る加藤さんが、現在楽しくて夢中になれるものは、歌うことと洋服のリメイクだそう。コロナ禍でも家の中のクローゼットをかき回して服をほどいて、脱いだり着たりしながら「ひとり仮縫い」を楽しんでいると言う。
本書は、執着を捨ててシンプルに生きている人たちの声を集めたものである。「断捨離」提唱者のやましたひでこさん、ファッションコーディネーターの徳田民子さんのほか、心理カウンセラーの根本裕幸さん、医学博士の矢作直樹さんら専門家によるコラムも掲載されている。
注目は、後期高齢者のありようを「ヨタヘロ期」と名付け話題になった、評論家の樋口恵子さんへのインタビューだ。樋口さんいわく「執着は捨てるものではなく、捨てさせられるもの」。樋口さんはコーラスに参加したりオペラツアーに出かけたりするほどの声楽好き。若い頃から人生設計を考えるタイプだったため「年をとって海外に行けなくなったときのため」とレーザーディスク(LD)を100万円近くかけて集めていたとのこと。しかし、年とともに技術も進歩。今では部屋のどこかでホコリをかぶっているそうだ。
「今は皆さんも趣味をお持ちでしょう。けれど、今のような超高齢化社会では、それができなくなる日がやってきます。......(中略)、だから体が動くうちにやれることはやっておいたほうがいいのです。」
LDを集めることに執着していたら、技術の進歩により泣く泣く執着を手放す結果に。未来のために楽しみをとっておくのではなく、今のうちに思う存分楽しんでおこう。
美容研究家・メイクアップアーティストの小林照子さんは、86歳の今も現役で仕事をしている。仕事中心の人生だったが、75歳で彫刻(木彫り)を開始。80歳からはアクリル画、86歳の今では「ショパンを弾けるようになりたい」とピアノのレッスンも開始したとのこと。過去に執着することなく、何歳になっても挑戦する姿勢は素敵で見習いたいものである。
本書のコンテンツは以下のとおりだ。
・執着は「放置」する。過去のことなんてほっといていろんなことに挑戦すればいいの 加藤登紀子さん
・暮らしが整っている人は執着からも解放されている人でした
・執着から解放された人の「向き合い方」とは?
・なぜ私たちは執着から逃れられないのか? やましたひでこさん
・しがみつかない生き方をする方法 根本裕幸さん
・執着から解放される話し方 鹿島しのぶさん
・「孤独」を楽しめれば余白のある豊かな人生を過ごせます
・自分でできるおうち修繕 島忠ホームズ
・執着する心から解放してくれる 今、話を聞きたい人
執着心を捨て、いま、目の前にあることに集中する。「素敵なあの人」たちの、シンプルな生き方のお手本が満載だ。
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