「後遺症だけが現れるケースがある」「後遺症のほうが重症化することがある」――。こうした「新型コロナ後遺症の落とし穴」をご存知だろうか。
『新型コロナ後遺症 完全対策マニュアル』(宝島社)が5月8日に緊急出版された。本書は新型コロナに感染して軽症で済んだ人、無症状のまま感染した人に向けた1冊。
「コロナ後遺症外来」を設立し、これまでに1500人以上を診察してきたヒラハタクリニック院長・平畑光一さんが、コロナ患者と家族の不安に答える。
「コロナ後遺症は、いったん改善してもまた繰り返すことが多く、長く付き合っていかなければなりません。(中略)コロナ後遺症を決して他人事と思わず、正しい知識を身につけていただきたいと思っています」
新型コロナウイルス感染症は症状が出ないことが多く、多くの場合、軽い発熱程度で治る。抗体ができてもすぐに消えてしまい、感染したかどうかはっきりわからないことも。
ところが、そうした患者がのちに後遺症を発症し、原因がわからず苦しんでいる。こうしたケースがとても多いという。
「『無症状、または軽症だから、後遺症も軽い』ということはありません。連関はまだ不明ですが、まったく無症状だったのにひどい後遺症に苦しんでいるという患者さんは実際にいます」
たとえば、無症状で検査もしていないため、自分が感染したことに気づかない。後遺症が出て初めて、過去の新型コロナへの感染を疑うケースもあるという。
無症状の場合、まさか自分が感染しているとは思いもしないが......。もし急な体調の変化があれば、「もしかしたら感染していたかもしれない」と後遺症を疑ってみるのがいいそうだ。
■新型コロナ後遺症の主な症状
長引く微熱、倦怠感、疲れやすい、胸の違和感、咳・喘息のような症状、のどの違和感、呼吸困難、食欲不振、脱毛、腹痛、関節痛(特に下半身)、頭に血が上る感じ・顔がほてる感じ、頭痛、悪寒、皮疹、胃食道逆流症 など
本書は、2021年3月末時点での新型コロナ後遺症対策をまとめたもの。「症状の見分け方」から「対処法」まで、図・イラスト付きでわかりやすく解説している。詳しい症状や治療法については、本書をご覧いただきたい。
■目次
Part1 あなたは大丈夫? 無症状感染の可能性
コロナ後遺症発症のメカニズムはまだ不明
あなたは大丈夫? 無症状でも後遺症を発症
症例(01、02)
コラム コロナウイルスへの感染を知る検査は大きく3種類
Part2 本当は怖い、新型コロナ後遺症
後遺症の症状(01~11)
コラム 新型コロナはほかの病気の予防接種で防げるか?
Part3 コロナ後遺症は治るの?
後遺症の治療法(01~17)
コロナ後遺症にかかったら? 不安を解決するQ&A
コロナ後遺症に関する相談先
特別収録 コロナ後遺症チェックシート
ここでは、新型コロナ後遺症の特徴にふれておこう。
現時点では、どのようなメカニズムで後遺症が発症するのかわかっていない。そのため治療法が確立されておらず、治療薬もないという。症状も発症のタイミングもさまざまで、病院に行っても原因がわからず、適切な治療が受けられないケースが非常に多いのが現状のようだ。
■新型コロナ後遺症の特徴
・およそ3分の1が「1週間のうち半分以上自宅で休む」という寝たきりに近い状態に。
・周囲の認知度が低いため、理解されない。
・相談できる医療機関が少ない。
・40代が多い。重症でない若い世代にも見られる。
・「感染時の重症度」と「後遺症の重症度」はまったく一致しない。
・無症状でも、のちに出てしまう。
「人によってはその後の人生が破壊されかねないほどの症状に見舞われています」――。
「後遺症」がどれだけ大変なものか、正直あまりピンと来ていなかった。それが本書を読んで、「病院で診察を断られた」「検査で異常なしと言われて診察してもらえなかった」「周囲の理解がなく『もう治ったのに怠けている』『気持ちの問題だ』と追いつめられている」など、つらい思いをしている人がいることがよくわかった。
新型コロナ後遺症患者は今後、爆発的に増加していくことが予想されるという。もはや他人事ではない。本書は、いままさに不安を感じている人の助けになるとともに、そうでない人も「この不調、ひょっとして...」と自分事として考えるきっかけになるだろう。
■平畑光一さんプロフィール
山形大学医学部卒業。東邦大学大橋病院で一般内科、循環器内科を研修、国立病院機構東京病院で呼吸器内科研修を経て、東邦大学大橋病院消化器内科で大腸カメラ挿入時の疼痛、胃酸逆流に伴う症状などの研究を行う。胃腸疾患や膵炎など、消化器全般の診療に携わる。2008年7月より、ヒラハタクリニック院長に就任。2020年3月「新型コロナ後遺症外来」を開設。日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医、日本内科学会認定医。
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