西洋絵画には、神話や文学、聖書の話など様々な世界観が表現されている。美術館で絵自体の美しさや表現の卓越さを楽しむのも良いが、描かれている物語にまで踏み込むと、新たな発見があり面白い。今回は、さらに深く鑑賞したい人向けの1冊を紹介していく。
2021年4月22日、『366日 物語のある絵画』(パイ インターナショナル)が発売された。著者は数多くの芸術に関する書籍に携わっている評論家・海野弘さんだ。
表紙が豪華で美しい。本や美術が好きな人への贈り物としても喜ばれそうだ。
本書では、ギリシア神話、聖書物語、中世の騎士物語、世界の伝説からシェイクスピアなどの文学世界、おとぎ話のフェアリーペインティングまで、1日1話ずつ物語を楽しみながら作品を鑑賞できる。気が付いたら西洋文化を知るうえで必要な教養が身につき、美術鑑賞が楽しくなる。
本書の内容を一部紹介しよう。
下の画像、左側の「パラス・アテナ」はクリムトの作品だ。戦争の神でもあり、平安の神でもある女神、アテナを描いた。ゼウスの額から生まれたとされるアテナは、蛇で縁取り、怪物ゴルゴンの首をつけた胸当てをつけている。クリムトのアテナはグロテスクで、兜から胸のゴルゴンまでの輪郭が「あるもの」の形状をしているために物議をかもした。「あるもの」は本書で確かめてほしい。
このほか、「正義の女神」には、「こんな人に裁かれたい」、「ダヴィデとバテシバ」には、「いいお話があります」など、ユーモアのある見出しが目を引く。解説も簡潔で、興味深い。
一気に読んでも、少しずつ読んでも楽しい。絵画だけではなく、文学や神話などの物語の世界にまで興味の幅が広がる一冊。
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