家で作る魚料理といえば、グリルで焼くだけの干物や器に盛るだけの刺身など、「作った」とは言えないものばかり。手間をかけてもせいぜいムニエルかアジフライくらいで、肉料理に比べてバリエーションも食卓に上る回数も圧倒的に少ない。健康のためには、もっと魚を食べたいけれど......。
調理が面倒、パサパサしておいしくできない、作れるメニューが少ない。そんな魚料理のハードルを下げてくれるのが、フードスタイリスト、ダンノマリコさんの『フライパンひとつで魚のごちそう』(青春出版社)だ。
本書は、仕事が忙しいけれど健康的な食事をしたい人に向けて、「フライパンひとつで作れて、面倒な下処理がいらない魚料理」をテーマに、「ネットでは出合えない"新しい"魚料理」を提案している。
ぶりの和風油淋鶏ソース、スモークサーモンとチーズのガレット、あじのチーズガーリック焼き かりかりパン粉がけ、さば缶と長ねぎのトルティージャ、たこのガリシア風アヒージョ、かれいのインド風カレーなど、白いごはんに合うおかずから、お店に行った気分になれるお酒に合うメニューまで、おうちのフライパンひとつで手軽に作れるレシピが掲載されている。
フレンチ、イタリアン、スパニッシュ、アジア、カフェ風、定食屋風、居酒屋風と7つのカテゴリに分かれたレシピが全部で58。魚料理にもこんなにバリエーションがあったのかと驚く。しかも、どれも切り身や刺身、缶詰などを使うので下処理が要らないものばかり。
これならチャレンジできそう!と試しに作ってみた。お酒好きの記者が選んだレシピは2品。
1つ目は「ほっけのフィッシュ&チップス風 ビール揚げ」。干物の塩気で味付けは不要。衣にビールを使うことでカリっと仕上がる。
作り方は簡単。ほっけの干物を適当な大きさにそぎ切りにして、ビールで溶いたてんぷら粉にくぐらせ、フライパンで揚げるだけ。今回は、ポテトは市販の冷凍食品を使用。あっという間にビールに合うおつまみが完成した。
ほっけの塩加減が最高! お好みでレモンを搾ってもおいしい。干物は焼いて食べたことしかなかったので、意外な活用法に目からウロコだった。家族にも好評で、干物が苦手な子どももパクパクと食べてくれた。
2つ目は、「かじきとアボカドとトマトのグリル」。キャンプ飯の流行に乗じて買ったものの、ほとんど出番がなかったスキレットで作ってみた。
こちらも超簡単。メカジキを1㎝幅のそぎ切りにし、塩と白ワインで下味をつける。スキレット(フライパン)にメカジキとアボカド、トマトを順に並べ、上から粒マスタードとオリーブオイルを混ぜ合わせたソースをまわしかけて火にかける。蓋をして弱火で5分。ピザ用チーズをのせ、しばらく蒸らしたら完成だ。
淡泊でパサパサになりがちなメカジキも、アボカドやチーズと合わせることで大満足の一品に。カラフルな見た目でテンションも上がる。キリッと冷えた白ワインと抜群の組み合わせだ。
レシピに加え、魚料理がおいしくなる「6つのコツ」も参考になる。ここでは、本書の特設サイトで公開されている2つのコツを紹介する。
【焼塩を使うと、まんべんなく塩がふれる】
焼塩はサラサラしているので、魚全体にまんべんなくふりかけられます。
魚の余分な水分が均一に出てきますし、塩味を均等につけることもできるのです。
【火を止めて余熱で火を通すと、パサパサにならない】
煮たり蒸したりしたときは、8割方火を通して、あとはフタをして余熱で火を通すくらいがちょうどいいです。
ちょっとしたことだが、「料理の腕が上がった?」と思わせるほど、出来上がりに差がつく。ほかの4つのコツもわかりやすく使えるものばかり。続きはぜひ本書で確かめてほしい。
著者のダンノマリコさんは、栄養士の資格を持つフードスタイリスト。魚好きが高じて、日本各地の漁港や市場を訪れ、漁師など魚のプロたちを取材。自宅のスタジオを拠点に、旬の魚介を楽しむ料理会「ミナトゴハン」を主宰するなど、日本の魚のおいしさを伝えるべく活動している。
日本では初夏はかつお、秋はさけ、冬にはぶりなど、
季節ごとに魅力的な魚介が水揚げされます。
さらに流通も発達し、海外から空輸された生のサーモンまで手軽に変えます。
そんなバラエティに富んだ魚介たちを食べないのは、全くもってもったいないお話。
(中略)
その日の気分やシーンに合わせて、
気軽におさかなライフをお楽しみいただければうれしいです。
(本書 前書きより)
実際に作ってみると、魚料理って案外、手間は肉料理と変わらないなと感じた。いやむしろ、簡単かも......? 種類が多いだけに料理の幅もぐんと広がる。魚のおいしさと奥深さにハマりそうだ。
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