3月1日、2022年春卒業予定の大学生らを対象とした企業の採用説明会が解禁された。いわゆる就活解禁だ。大学生の今後の運命を決める戦いが幕を開けた――ように見える。
だが、現実は違う。実のところ、就活はとっくのとうに始まっている。そんな生々しい就活の実態まで記しているのが本書『2023年度版 就活の教科書 これさえあれば。』(TAC出版)だ。
就活解禁と聞くと、まるでそこから企業の採用活動が始まるかのように思える。だが、実態は異なる。多くの企業はインターンや模擬面接などの体裁をとり、3月1日以前から採用活動を行っている。評者の就活の際も、「インターンは採用に一切関係ありませんよ」と声高に宣言している企業でさえ、インターン参加者を優遇していた。
なかには本選考が就活解禁前にすでに終わっている企業もある。たとえば、今年は一部のマスコミはもうすでに募集を打ち切っている。
本書はこうした就活の実情をしっかりと記している。意外なことに、こういった就活事情をきちんと書いている就活本は珍しい。
本書は就活のキホンのキから丁寧に書いている。たとえば、就活では避けては通れない企業との電話でのやり取りの際の注意事項だ。
評者も就活をしたが、企業との電話で失敗してしまったことをよく覚えている。採用担当者と電話で話している際、緊張のあまり何故か時々タメ口になってしまい、苦言を呈されてしまったのだ。あの時は冷や汗をかいたものだ。
社会常識やマナーをきちんと身に着けられている大学生は、案外少ない。そうした部分まで丁寧に書いてあるのは、本書のありがたいところだ。
就活の基本だけではなく、OB・OG訪問の手順などの細かな部分までも書いている。
OB・OG訪問は企業への理解を深めるために行うものだとされているが、なかには選考に関わる企業もある。だから、どの就活生もできる限りやっておいたほうがいい。
実際にOB・OG訪問をするためには、様々な手段がある。サークルや大学の先輩を頼ったり、企業の人事部に直接電話したりするのが、よく使われる手段だろう。だが、本書によると、「企業のお昼休みに出待ちして、後日のアポイントを取り付ける」といった荒業を使うのも有効なのだそうだ。
就活事情は複雑でわかりにくい。ネットで正確な情報を見つけるのは難しく、友人や先輩に話を聞くのにも限界がある。
本書は、そんな就活の情報やテクニックを一冊に詰め込んでいる。その名の通り、まさに「教科書」と呼ぶべき書籍だろう。とくにこれから就活を始める23・24卒の大学生に読んでもらいたい。
評者自身、就活の際はネットなどで情報を調べたが、なかなか正確な情報は見つからなかった。そして、全体像をつかめないままやみくもに就活を続け、精神をすり減らした。就活を始める前に本書に出会えていれば、どれほど楽だっただろうか。
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