お笑いコンビ・オリエンタルラジオは、昨年末に所属事務所からの独立を表明。中田敦彦さんはYouTuberの活動が目立ち、シンガポールへの移住計画も話題を呼んだ。一方、藤森慎吾さんは現在どんな心境だろうかと気になっていた。
そんなタイミングで刊行されたのが、藤森さんの初の著書『PRIDELESS(プライドレス) 受け入れるが正解』(徳間書店)。
「いつだって周りのひとのことを見て、全力で持ち上げる。そのひとたちからの照り返しによって、自分もすこし輝けたならそれでいい。それがぼくの生き方だ」
公私ともに「聞き役」になることが多いという藤森さん。本書で初めて、自身の過去、現在、未来を明かしている。61のエピソードを読むと、じつは素朴で楽観的で気くばり上手。そんな「愛される」人柄がよくわかる。
■目次
第1章 過剰なあっちゃん――ダメ出しを受け入れる
第2章 ペラッペラの「チャラ男」――世界をありのままに受け入れる
第3章 超プラス思考のすすめ――自分のショボさを受け入れる
第4章 人間関係の攻略法――無力な自分を受け入れる
第5章 まあ、なんとかなるさ――プライドレスを受け入れる
「あっちゃん、カッコいい~!」「きみ、カワウィ~ね~~!」。藤森さんが気になるのは周りのことばかり。「ぼくにはよほど『自分』がないんだな」。
そこでふと、「芯がなくってすぐふらふらしてしまう自分に悩んで、そのせいでちょっと縮こまっているようなひと、ほかにもきっといるんじゃないか」と思ったという。
「『プライドレス』な生き方しかできないひとの代表として、ぼくがまず自分のことをさらしてしまおう。その姿を見て、ちょっとでもラクになってくれるひとがいるかもしれない」
本書では、「周りを受け入れることで、自分も活かされてやろう」と考えるに至った心の内や出来事を包み隠さず見せている。
藤森さんは、長野県諏訪地方の寒冷地で生まれ育った。「この土地の者は粘りと忍耐力が持ち味だ」と聞かされてきたが、「自分にはその持ち味がなぜかまったく備わっていなかった」。
「ぼくの決定的な弱点は、(中略)強い情熱を傾ける対象を見つけられたためしがないことだ。いつだって、すべてが『そこそこ』だった」
そんな自分がデカいことをするには、「手っ取り早くひとの力を借りるしかない」。そこで藤森さんが頼ったのが、中田さんだった。
出会った大学時代から現在まで、ありのままのふたりをいきいきと描いている。中には「あっちゃんを心底きらっていた」というエピソードもあるが、相方への圧倒的な信頼感、尊敬の念は一貫している。
才能あふれる相方のとなりで、苦悩した時期も仲が悪かった時期もあったというが、持ち前のプラス思考で軌道修正した。
「自分にできることを懸命にやればいいのだ。(中略)ぼくはあっちゃんに、そして、めくるめく数々の状況に何度も振り落とされそうになりながらも、どうにかこうにか食らいついていった」
オリラジというコンビのかたちは、中田さんが主導し、活動方針を決めることで形成されてきたという。しかし、「ぼくらコンビのありようは、ここ数年でまた大きく変わってきている。今後もまた変わっていくんだろう」。
「そのたびにぼくは、『(中略)相方が変化を遂げているんだったら、こっちもぼくなりの変化を遂げないと、ぼくはひとりで埋もれていってしまうぞ』と気を引き締めることになる」
いつも自分の先を歩いている相方への嫉妬でがんじがらめになりそうな状況を、藤森さんは「プライドレス」で見事にすり抜け、自分の道を見つけた。
「案外これが武器になる。プライドがないからこそ、ぼくはいまこんなに軽やかでいられるんだろう」
藤森慎吾=「チャラ男」というフィルターを取り払ってから、本書を読んでほしい。「プライドレス」な生き方は、世の中をサバイブする一つのヒントになる。
■藤森慎吾さんプロフィール
1983年、長野県生まれ。2003年、明治大学在学中に中田敦彦さんとオリエンタルラジオを結成。04年、リズムネタ「武勇伝」でM‐1グランプリ準決勝に進出し、ブレイク。11年、「チャラ男」キャラで再ブレイク。16年、音楽ユニット「RADIO FISH」としてNHK紅白歌合戦出場。現在はバラエティ番組のほか、テレビドラマ、映画、ミュージカルなどでも活躍している。昨年、「藤森慎吾のYouTubeチャンネル」の配信をスタート。オンラインコミュニティ「FILLLLAGE」主宰。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?