リズム芸「武勇伝」が受け、お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」は2005年ごろにブレイクした。中田敦彦さんが、相方の藤森慎吾さんのリードで「武勇伝」を披露し、それを受けて発する藤森さんのオチにドッカンと笑いをとるパターンだった。だが数年後にはテレビで姿を見かけないようになり、一発屋でフェードアウトかとみられたが、中田さんがインテリ芸人として、藤森さんがチャラ男のキャラを前面に出して再ブレイク。さらにダンス&ボーカルグループを結成するなど活動の場を広げている。
中田さんは新著『天才の証明』(日経BP社)で、どんな人にも「適材適所」となる役割や仕事、分野や職場があり、生まれ持った資質を伸ばし磨きをかける方法があると述べる。「適材適所」を原則として、それを貫き精進してきたことが、コンビとして、またそれぞれの成功があるという。
著者は「1つのグループや企業にいて、それが自分に本当に合っているかなんか分からない。もし、今の仕事が好きだと思えなかったり、仕事をすることが面白くないと感じているのであれば、それは間違いなく自分の秘めた才能を潰している事」と述べる。お笑い芸人だからお笑いをしなければならない、などといいう決まりはない―。オリラジはレパートリーに掛け合い漫才やコントを備えていたが、それらには適材適所は見いだせず、コンビとしては武勇伝に、近年ではダンス&ボーカルにとフィールドを広げていったものだ。
オリラジの出し物のネタはすべて著者が作る。著者によれば、相方の藤森さんは「やりたいことがない」のだが「言われたことをまっとうする」ことにおいては間違いがなく本人も得意としているという。それだからこそ、イキの合った武勇伝でブレイクし、オリラジ率いるダンス&ボーカルユニット、RADIO FISHで再び脚光を浴び紅白歌合戦出場(2016年)を果たすなど「適所」を得られたわけだ。
著者は「適材適所」で天才を証明した例として、サッカーのアルゼンチン代表でスペイン・バルセロナに所属するリオネル・メッシ選手をあげる。メッシ選手が卓越しているのは、その能力そのものではなく、サッカーとの相性により能力が発揮されたもの。世界にサッカーが存在せず、バスケットやアメリカンフットボールしかなければメッシは天才を発揮できなかったろうという。
RADIO FISHでの再ブレイクと前後して中田さんは、テレビ番組にコメンテーターとして出演するなどして、上から目線の発言が注目されるようになり、さらには「禁断」とされる先輩芸人の批判を口にし、ファンの間などではどこに向かっているのかが話題になった。さらにフィットする「適所」を探す過程にいるということだろうか。
本書では、生まれながらにして持った資質を伸ばしていく方法を30の視点から述べている。自分の今の居場所に迷いや違和感のある人にはとくに、なにかしらの指針となるに違いない。
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