「あの堀江さんにも臆せず話していて、スゴイです。まるで猛獣使いですね」――。
そう言われたことがある「根は小心者で人見知り」の人物とは、ベンチャー女優・タレント・司会の寺田有希さんである。YouTubeチャンネル「ホリエモンチャンネル」で7年以上アシスタントMCを務め、数々の著名人のトークを回し続けている。
本書『対峙力』(クロスメディア・パブリッシング)は、寺田さんが編み出した「誰にでも堂々と振る舞えるコミュニケーション術」を明かした一冊。
「驚いた! これほど工夫していたとは。だからこんなに話しやすいのか」
帯に「堀江貴文氏驚愕!!」とある。「人見知りMC」こと寺田さんは一体どんな工夫をしながら、大物にも臆せずコミュニケーションをとっているのだろうか?
寺田有希さんは1989年生まれ。大阪府出身。明治大学文学部文学科演劇学専攻卒業。2004年芸能界デビュー。12年事務所との専属契約を終了し、独立。YouTubeチャンネル「ホリエモンチャンネル」「B.R.CHANNEL」などでMCを務めるほか、自ら作詞・作曲したストリートラグビー公式応援ソングで歌手としてメジャーデビューするなど、活動は多岐にわたる。
子どものときからキラキラした世界に憧れ、15歳で芸能界入りを果たす。しかし、22歳のときに所属していた大手芸能事務所をクビになり、フリーの女優に転身せざるを得なくなった。以来、「ベンチャー女優」と称している。
事務所のネームバリューもマネージャーのバックアップもない。自分の力で生き残っていかなければならない。そこからいろいろな人や現場に対して「どうしたら円滑にコミュニケーションをとれるか」を必死に考え、試行錯誤を重ねてきた。
そうして身についたのが「どんな相手にも物怖じせず、フラットに接する力」=「対峙力」。「対峙力」とは、どんな場面でも使えるコミュニケーションの「武器」なのだという。
「逃げない。媚びへつらわない。萎縮しない。相手を認め、自分のことも認めてもらって話すこと。それが『対峙力』だと思います」
初対面、目上の人、気難しい人、面接、営業、会議、プレゼンなど、「対峙力」が必要とされる「失敗できない場面」はいくらでもある。「失敗したくない」「嫌われたくない」「気に入られたい」「評価されたい」のにうまく話せない場合、人と「対峙」するにはどうしたらいいのだろうか?
「まずは自分自身と向き合い、『これなら戦える』という自分の武器(長所)を知ること。そして、相手と場の状況を読んで、その武器を最大限に活かすこと。それが大事なんです」
寺田さんがフリーに転身してからの9年間、自身と向き合い、周囲から学び、試行錯誤を繰り返して身につけた「対峙力」。この「対峙力」について、「人」「仕事」「自分」「夢」をテーマに全39項目で伝えている。
序章 対峙力で人生を変える
第1章 誰に対してもひるまないスキルを身につける――「人」との対峙
第2章 いつでも必要とされる存在になる――「仕事」との対峙
第3章 信頼できる自分に変わる――「自分」との対峙
第4章 自分の可能性を広げる――「夢」との対峙
終章 対峙力で開ける、新しい未来
芸能界デビューしたとき、寺田さんには「国民的女優になる」という夢があった。当時、女優になるには「グラビアで実績をつくって知名度を上げ、女優に転身する」のが王道。その道から外れたとき、「もう国民的女優になることは無理かもしれない」と絶望した。
現在、デビュー当時に夢見ていた「王道ルート」を歩んではいない。しかし、フリーで活動しているうちに「そっか、別に誰かと同じ道を進まなくてもいいんだ。私は私のやり方で、夢を叶えていけばいいんだ」と気づいたという。
「自分ができることを1つずつ重ねていけば、自分だけの道ができる。人と違う道を通ると遠回りに感じるかもしれないけれど、その道がきっと自分にとって一番の近道です」
第2章の「『評価されたい』と思った時点で、仕事に本気になれていない 自分の役割に集中しているか」は、評価より大事なことに気づかされる。
小さいときから「人の目線」や「評価」がものすごく気になるタイプだったという寺田さん。事務所に所属していたときも、女優の仕事の場合「近くで見ている監督の評価」ばかり意識していた。「目の前の仕事に本気になれていなかったんだな」と振り返る。
「ホリエモンチャンネル」のMCに抜擢されたときも、「視聴者からの評価」が気になって仕方がなかった。当初、アンチコメントを大量に書き込まれ、それを書き込まれないようにゲストをただただ褒めたり、堀江さんに同調したりしていた。しかし、アンチコメントはなくならなかった。
八方塞がりの状況が3年ほど続いたある日、堀江さんがMCとして寺田さんを起用した理由をこう話した。「お前は世の中を代表して、俺の説明がわかりやすくなるように隣に座っている。だから格好つけずに、思ったままのことを言えばいいんだよ」。
それを聞いた寺田さんは「その場で期待されている自分の役割を全うすること」だけを考えるようになり、それまでの自分は「本気になる方向が違った」と気づいたという。
「自分の役割を全うすることに集中する。これが自信を持ってもっといいパフォーマンスをするための、いちばんの近道なのだとわかりました」
同じく第2章の「スターじゃなくても輝ける スターではなくトップを目指す」には、諦めは絶望ではないと感じられるエピソードが。
寺田さんはMCを続けているうちに、「こんなに保守的だったら、時代を切り開くスターになんてなれるわけがない!」と悟ったという。
「誰もが時代を切り開くスターになる必要はありません。スターの素質がないと悩み疲れてしまうより、自分の才能を活かして、自分だけの分野のトップを目指す方が、私は幸せなんじゃないかと思うんです」
赤裸々に綴られた挫折経験に、共感の連続だった。実際、思い描いたとおりの自分になれたという人はそうそういないだろう。多くの人は、夢と現実の間に多少のズレを感じながら生きているものではないだろうか? ただ、いまいる地点から舵を切り直すこともできるのだと、寺田さんを見て思う。
「『対峙力』を手にすれば、いろいろな人と自信を持って関わっていくことができます。その中で、あなたが『いまの自分が求められている生き方』に気づき、過去の私が経験したように、いままで想像していなかった『新しい未来』が見えてきたら嬉しく思います」
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