ビジネス書のコーナーでいま売れているのが本書『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ)だ。メディアアーティストで筑波大学准教授の落合陽一さんと実業家の堀江貴文さんの共著。落合さんの『日本再興戦略』(幻冬舎)と並んでベスト10に入っている。
AIがすごい勢いで普及し、人々の仕事を奪おうとしている今、仕事のありかたを根本的に変えようというメッセージが若い読者に受け入れられているようだ。
落合さんが予測する10年後になくなる仕事・減る仕事とその理由を挙げると、「管理職→管理するだけの管理職はAIだけで十分」「秘書→仕事は限定される」「営業職→フォロワーのいる営業職だけが残る」「エンジニア→エンジニアは安くなる」「弁護士→給料の高い弁護士は、AIでコスト削減」「会計士・税理士・社労士など→法律関係の仕事はAIの得意分野」「銀行員→『銀行員』はおろか、銀行すらいらなくなる」「コンビニのレジ打ち→コンビニのレジ打ちはもうなくなりはじめている」など、引用しきれないほど多くの職種で需要は頭打ちと予測される。
今週発売の「週刊現代」(2018年5月5・12日号)も「AIが完全予測 技術革命で消える仕事」という特集で、職種によって給料がどう減るか、増えるかを予測しているが、堀江さんによると、「『なくなる仕事リスト』なんて血液型占いくらいの精度しかない」そうで、未来を心配するより、ほかに代替できない価値を「仕事ではなく趣味で生み出せ」と発想の転換を訴える。
その上で伸びる仕事として挙げているのが、「個人経営のお店→志のある個人経営店は、大手チェーンに勝てる」「職人→イケてる職人は、この先もイケてる」など個人でやる仕事だ。ここで思い出したのが、先日本欄で取り上げたばかりの『ローカリズム宣言』(デコ)でも著者の内田樹さんが、「小商い」を薦めていたことだ。「自分がどれだけ成長できるか」で職業を選べ、と内田さんは呼び掛けていた。
趣味の延長線上で仕事を創ったり、地方に移住して土地の産物を使ってなりわいとしようとしたりする人が増えているのは、大きな地殻変動を前に、若者がすでに動き始めたということかもしれない。インターネットの登場以来の20年で社会は相当変わったが、これから来るAIの波は根本的に社会そのものを変えるインパクトを持っている。職業選びという観点から来るべき社会を予測した本として売れているのも分かる。
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