新年らしくて美しい表紙に思わず手が伸びた。
本をジャケ買いするという話もよく聞くが、「小説現代」(2021年1月号)の表紙は、まさに「今、欲しいな」と思わせるデザインだ。
さっそく誌面を開くと浅田次郎さんの長編「兵諫(へいかん)」(前編)、相沢沙呼さんの「泡沫の審判」が目次の先頭を飾っている。
両編とも読み応えがあることは間違いなく、ファンならずとも文芸好きは素通りできない作品だ。
浅田次郎さんは、なんと、グラビアのページもあり、実際に中国で撮影された写真が「グラビア 浅田次郎 『兵諫』の地に立つ」として掲載されている。
感情移入して物語を読むうえでも、そして、歴史の背景を確認するうえでも貴重な写真資料となっている。
相沢沙呼さんの「泡沫の審判」については、『medium霊媒探偵城塚翡翠』の待望の続編として、すでにネット上にも面白いという感想が見受けられる注目作だ。
新春企画として面白かったのが、"新春100人アンケート「わたしの好きな戦国武将」"。
さまざまな著名人が、自分の好きな戦国武将を発表して、その理由を記している。
この企画は、編集部が100人からアンケートを集めたもので、想像するにかなりの手間がかかったに違いない。しかし、その分、調査物ならではの面白さがあふれているので、読者からの評価は高いのではないだろうか。読み始めたら一気読みする方がほとんどだろう。実際、面白い。
この作家とこの作家は同じ武将が好きなのか・・・ということは、人間的には似ているのか?
この人はこんな地味な武将が好きなのか?
この作家は、たしかに、この武将が好きだろうな。納得!
えっ!この人からはイメージできない武将!
などなど、いろいろな読み方ができるのでページをめくる手が止まらない。
そして、自分が好きな武将が出てくるか、さらには、その武将を好きだと言っている人が誰かを答え合わせするのも面白い。
「小説現代」2021年1月号(講談社)には、そのほかにもエッセイ、対談、コラムなど読み応えのある作品が多数掲載されている。
文学が娯楽だと改めて感じさせてくれる文芸誌。在宅時間が増えそうな日々の中、ぜひ一冊手に取ってみてはいかがだろうか。
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