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いじめからジェンダー・ギャップまで。今苦しんでいる全ての人へ送る『マインドトーク』

 書店をみるとメンタルケアに関連した本も多く目につく気がする。新型コロナウイルス感染症による環境の変化などで、心の疲れを自覚する人も増えているのではないだろうか。

 『マインドトーク』(ハガツサ ブックス)は、臨床心理士として働くみたらし加奈さんによるエッセイ。みたらしさんは「メンタルケアを身近にすること」を目指しSNSなどを中心に活動を続け注目を集めている。

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写真は、『マインドトーク』(ハガツサ ブックス)

 みたらしさんは「精神科へ行くことに対して偏見を持っていた」という。その偏見によって、問題と向き合う機会を持つことができなかったり、専門家の正しいケアを受けることができずに苦しんだ過去を持つそうだ。

 彼女は、「臨床心理士として行動心理学をベースに悩みを抱える人を援助している。今だからこそ、私のような思いをする人が少しでも減ってほしい、自分と向き合うきっかけになってほしい」という思いを持ち執筆に至ったという。

いじめ、自傷行為...解決方法の鍵も

 本書の中でみたらしさんは、幼少期から今までを振り返り、次のようなエピソードに触れている。

・いじめを受けていたこと
・自傷行為を繰り返していたこと
・性暴力被害を受けたこと
・ジェンダー・ギャップに苦しんだこと
・同性パートナーとの出会い

 最大の特徴は、これらのエピソードを臨床心理士として得た知識と結びつけて解説していることだろう。

 小学校時代に受けたいじめについてつづっている章では、いじめっ子に対して「1対1」で立ち向かい解決できたことを振り返り、「相手の予想外の範囲に飛び出すことこそが加害の連鎖から抜け出す鍵だった」としている。

 本書は、このように「どんな心理状態だったのか」、「どんなアクションで解決できたのか」、といったポイントを分かりやすく丁寧に解説することで、同じような悩みを抱えている人の道しるべとなるように構成されている。

10代・20代が手に取りやすい工夫も

 本書は横書きを採用。大事なポイントには色付けが施されるなど、TwitterやInstagramをはじめとするSNSでの情報収集に慣れた若年層にとって、内容が受けとりやすいように工夫されている。

 今悩んでいて「変わりたい」と思う全ての人に向けて、自分と向き合うきっかけを持てるような一冊といえそうだ。

BOOKウォッチ編集部 ムカイ)

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