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上野動物園元園長による異色の児童書

 アライグマ、ウシガエル、アメリカザリガニ......これらの生き物に共通するものは何だろう。彼らはいずれも「外来生物」。もともと外国に生息しているが、人間によって日本に持ちこまれた生き物である。

画像は、『つれてこられただけなのに  外来生物の言い分をきく』(偕成社)
画像は、『つれてこられただけなのに 外来生物の言い分をきく』(偕成社)

 2020年7月8日に発売される『つれてこられただけなのに 外来生物の言い分をきく』(偕成社)は、上野動物園の元園長である小宮輝之さんが監修する児童書。外来生物から48種を選び、人間によって持ちこまれたのに「悪者」とされている不満を、生物自身が「言い分」としてコミカルに語る。

画像は、『つれてこられただけなのに  外来生物の言い分をきく』(偕成社)
画像は、『つれてこられただけなのに 外来生物の言い分をきく』(偕成社)

 外来生物が日本に持ちこまれた経緯とその後の状況、増えた理由について、外来生物側の目線で解説するという、異色の児童書だ。外来生物は在来種の存続を脅かすことが多いため、悪者扱いされがちである。しかし、実はほとんどが、食用、観賞用、害獣退治など、人間の勝手な都合で連れてこられた。

 たしかに日本の自然や生物多様性を脅かすケースも多い。けれども、「帰化動物」「帰化植物」と呼ばれ、日本人と長い間、暮らしをともにしてきたものもいる。

画像は、『つれてこられただけなのに  外来生物の言い分をきく』(偕成社)
画像は、『つれてこられただけなのに 外来生物の言い分をきく』(偕成社)

 本書には、「外来生物も、在来生物と同じ一つの命。外来生物たちの言い分にもぜひ耳を傾けてほしい」という思いがこめられている。外来生物というカテゴリーにはめこんで一方的に敵視するのではなく、彼らのことをまずは知り、日本に暮らす生物の多様性に目を向けたい。

 

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