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「amazonの絶対思考」 星健一著

  • 書名 amazonの絶対思考
  • サブタイトル常に、「普通という基準」を作り変える
  • 監修・編集・著者名星 健一 著
  • 出版社名扶桑社
  • 出版年月日2019年11月 5日
  • 定価本体1600円+税
  • 判型・ページ数四六判・284ページ
  • ISBN9784594083168

「地球上で最も豊富な品揃え」を標榜し、物販だけでなく世界最大のクラウドサービス(AWS)や物流を展開するamazon(アマゾン)。その社内では、パワーポイントによる資料作成やプレゼンが禁止されている。ジェフ・ベゾスCEOが創業間もないころ、外部のコンサル会社が持ってきた「紙芝居のような」「何を提案したいのかわからない」パワポ資料に激怒したことが発端という。

かつてパワポで作った企画書をアマゾン・ジャパンに持ち込んで新企画を提案したことのある評者には汗顔の至り...というのは余談だが、ことほどさようにベゾス氏の考えや一言一句は世界16カ国に展開するアマゾンの全社員(アマゾニアン、と呼ぶらしい)に浸透しているそうだ。そうしたベゾス氏の、つまりはアマゾンの「絶対思考」を自らにたたき込み、日本法人の事業本部長としてアマゾン・ジャパンの急成長を牽引した著者がアマゾン成功の理由を解き明かしたのが本書である。

アマゾンの戦略をビジネス面から分析した書籍は多い。だが、内部の者だけが知る「アマゾン的考え方」に焦点を当てて解説する本書は、あまたある〝アマゾン本〟とは一線を画す。

たとえば、冒頭の「品揃え」とともにアマゾンが自称するのが「地球上で最もお客様を大切にする企業」。へたに使うと赤面もののフレーズだが、本書を読み進めれば、アマゾンの絶対思考の根幹をなすのがこの「顧客中心主義」であり、アマゾンの全ビジネスモデルの核となっていることがよくわかる。アマゾニアンたちは本気で自分たちが「地球一」だと考えているのだ。

また、ベゾス氏の「アマゾンはいつか潰れる」、だからこそ「毎日が常に1日目」の気持ちでイノベーション(変革)を続けなくてはいけない、という言葉もアマゾニアンたちの口癖になっているという。毎日がチャレンジの1日目――それがアマゾンの「普通だ」というのである。

世界最大の企業の社員たちを動かしているのは、市場でも競合会社の動向でもない。顧客の利便性のみを追及するというシンプルな「絶対思考」。それがアマゾンの強さの源泉なのだ。

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