コロナ禍で外食する機会が減り、自炊するようになった人は多いだろう。でも3食作るのは大変だ。そんな人におすすめなのが、本書『ひと口で人間をダメにするウマさ！ リュウジ式 悪魔のレシピ』（ライツ社）だ。2019年11月30日の発行で、現在第15刷と売れている。
私事で恐縮だが、評者は週1日の出社日を除くと在宅勤務の日々が続いている。会社に通勤していた頃は、朝は立ち食いそば、昼はコンビニ弁当かおにぎり、夜はコンビニで買った総菜とビールにカップ麺と、休日以外、自炊することはほとんどなかった（それにしても悲惨な食生活！）。
4月からの外出自粛時に3日に一度、スーパーで食材をまとめ買いするようになり、3食自炊生活が始まった。一日中家にいるので時間は余るほどあるが、出来るだけ料理を手抜きしたいのが人の子。食材と調味料をぶち込んで、あとはひたすら待つという電気式圧力鍋を導入したのが始まりで、次は「レンチン」料理、つまりレンジでチンするだけで完成という安楽さにはまった。そして行き着いたのが、リュウジさんの「悪魔のレシピ」である。
どこが「悪魔」なのか？ リュウジさんはこう説明している。
1 ひと口で「人間をダメにするくらい」おいしいのに→つまり、存在が悪魔。 2 「最短で、最高の味が」作れる→工程をどれだけ省けるか、特別な調味料を使わずにおいしく作れるか。 3 しかも、掲載レシピの半数は「低糖質」なんです！→つまり、「天使のレシピ」が116品中58品。悪魔のレシピはデブメシだけじゃない。
リュウジさんは、1986年生まれ。千葉在住の料理研究家。「今日食べたいものを今日作る！」をコンセプトに、Twitterでレシピを発信し、フォロワー数は100万人を突破。料理動画を公開しているYouTubeでもチャンネル登録者数が16万人いる。「料理レシピ本大賞 in Japan」に連続入選。著書に『クタクタでも速攻作れる！ バズレシピ 太らないおかず編』（扶桑社）、『容器に入れてチンするだけ！ ほぼ1ステップで作れるレンジ飯』（株式会社KADOKAWA）など多数。
本書はTwitterで公開したレシピの中でも、1万人以上が「いいね! 」を押してくれたレシピばかり。作ってみたら、「最短で、最高の味」というコンセプトを実感してもらえるだろう。
本書の構成は以下の通り。
1 人間をダメにする伝説レシピ 2 胃袋がブラックホール 新・定番おかず 3 野菜がたくさん食べられる無限副菜 4 爆速で作れる吞んべえおつまみ 5 ひと皿で大満足 丼・炒飯・カレー・炊き込み 6 火すら使わない究極の帰遅メシ 7 魅惑の新世界 アレンジ麺類 8 万能スープと全能の鍋 9 おうちで作れる背徳のデザート
「人間をダメにする伝説レシピ」から何にでも合うし、そのままツマミでも果てしなく食べられるという「悪魔の万能ねぎ」を紹介しよう。
＜材料＞つくりやすい分量 小ねぎ...1束 A ごま油...大さじ1 うま味調味料...小さじ1/4 塩...小さじ1/4 すりごま...大さじ1 ＜作り方＞ 1 小ねぎを小口切りにする 2 Aを混ぜるだけ
野菜がたくさん食べられる「無限副菜」には、アボカドのだし漬けややみつきメンマ風エリンギなどがある。「あともう1品ほしい」「つくりおきしておきたい」そんな副菜プレッシャーから解放されるだろう。漬けるだけ、焼くだけ、和えるだけ。使った野菜は全部で16種。冷蔵庫にあるものを活用出来る。
「悪魔のレシピ」の真骨頂が、火すら使わない「究極の帰遅メシ」だ。コンロは使わない、果ては包丁すらいらないレシピもある。帰遅メシは働く人の強い味方になるだろう。
アボカドの漬け丼をレシピ通りに作ってみた。材料はアボカド1個にめんつゆ（大さじ2）、ラー油少し、黒コショウ少し、ごはん茶碗1杯分、卵黄1個、きざみ海苔（好みで）。アボカドをスライスし、合わせた調味料に数分漬けるだけでいい。切って混ぜるだけなのですぐに食べられる。
リュウジさんは、「料理はむずかしいと敬遠していた人には、『なんだ、それでいいのか! 』と安心してもらえれば嬉しいし、普段から自炊している人には、『その手があったか!』とびっくりしてもらいたい。そして、気づけばキッチンに立つことが楽しくなっていれば最高です」と書いている。
そして、この本は「悪の教典」。とにかく理性も知性も崩壊するおいしいレシピばかり。「お気をつけください」と結んでいる。
BOOKウォッチでは、『15分でいただきます！Mizukiの2品献立』（マガジンハウス）、『忙しい日のできたてごはんがレンチンだけでできちゃった100』（主婦の友社） 、『力尽きレシピ』（光文社）、『バズったレンチン神レシピ』（扶桑社）など簡単レシピ本を多数紹介済みだ。
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